
これは私が中学生くらいの時の話です。
私はお父さん子で、父の仕事の休みの日は毎回一緒に遊びに出掛けていました。
その日は富士山にドライブしながら星を観ようということになり、車に乗りました。
時間ははっきりとは覚えていませんが、建物も灯りもないため辺りは真っ暗でした。
20時以降であったのは確かです。
5号目の駐車場に車を停め、うきうきしながら外に出て、しばらく話しながら周辺を散策して非日常を楽しんでいました。
少し離れたところに赤いカラーコーンが置いてあり、ブルーシートで駐車場の一角を覆っていましたが、当時は地面の工事かな?と特に気にもならず、話題にも出ませんでした。
散策したり空を観ながら話したり1時間ほどした頃、そろそろ写真でも撮って帰ろうということになりました。
まず私が5合目の看板の前に立ち、父が写真を撮ります。
カシャッ
「はいもう1枚〜」なんて言う父に向かって渾身のピースです。
「ん?」と父が言った気がしましたが、撮り終えたので今度は私が「ぱぱ撮ってあげる、交代しよー」と父の方に行きカメラを受け取りました。
「3枚くらい撮るよ!」「ポーズは?」などと楽しく写真を撮りました。
そしてカメラを父に返し、父が写真を確認しました。
すると父が「お前もう1回あそこ立って、ちゃんと撮れてなかった」と言うので私は再び看板の前に立ちポーズをとりました。
カシャッ
カシャッ
父が再びカメラを確認し
「・・・なんかちゃんと写らないんだよな、ちょっとフラッシュ焚かないで懐中電灯の光で撮ってみるわ。」
カシャッ
カシャッ
「・・・おかしいな〜」
富士山を訪れたことがある方はわかるかもしれませんが、天候により山の下から上、左や右、風向きによって雲がサーッと通っていくことが多々あります。
父は「今って雲通ってないよな?」と私に聞きました。
私は、そんなのカメラ構えてるんだからわかるでしょと思いつつも「うん、うっすら霧がかってる感じもするけど雲が通ったまではいかないかな?なんで?」と返しました。
「いや、なんかお前の写真雲がかかったみたいになってちゃんと撮れないんだよな。」
えー、なんでだろ?と少し話し込み、また何枚か写真を撮りました。
ですがうまく撮れなかったのか、当時私は部活で着用していたウィンドブレーカーを着ていてリフレクターがついていたので、父はそれが反射してると言い、上着を脱いでもう一度看板の前に立ちました。
私は一貫して渾身のピースです。
カシャッ
カシャッ
カシャッ
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