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短編

一人の痴漢

ハンター 2日前
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数年前の事です。 アルバイトを終え、私は都内某線で帰路に着いていました。 時間は夜の10時ほど。そこまで車内は混んではいませんでしたが座れる席はなく、右手を吊革に掛けてぼんやりとしていました。 何駅かが過ぎた頃、ふとお尻に違和感を感じました。誰かにお尻を触られている…少し手が当たったのかな…と少しだけ首を右に捻って後ろを覗くとこちらを向いている眼鏡の男性が視界に入りました。 目が合ったので思わず前を向いた瞬間、少し手が当たったどころではない力で私のお尻を掌で撫で、更に強く揉まれました。 とても恐ろしくもありましたが、疲労でイライラしていた事もあって許せないという気持ちが勝り私は駅に停車するタイミングでドアが空いた瞬間に左手でお尻を触るその手を思い切り掴んで捻り上げながら"痴漢です!"と大声で叫びました。 その後は夢中でその男を開いたドアの外に押し出して大きな声でまた叫びました。 すぐに駅員さんがやって来てくれて事情を説明したのですが、その男は"やってないやってない"の一点張りです。 私も頭に血が上って"嘘言うなよ!"とかなり興奮していたのですが、その時にその駅で降りた3人の男性客達がこう言ってくれました。 "あのー、ずっと見ていたんですけどこの人確かに痴漢していましたよ" 口々にその方達は私が嘘を吐いていない事を証言してくれました。 最初は指を捻られて"暴力だ!"と吠えていたその眼鏡男も口々に"私も見ていたぞ!"と詰め寄るその男性達と私の剣幕に降参したようで、駅員室で話を聞く事に同意しました。 私の痴漢被害について証言してくれた一人はその騒ぎの最中に来た次の電車に乗り、もう一人は件の駅が最寄り駅だったようで改札を抜け、もう一人が駅員室まで付き合ってくれて状況を説明してくれたので眼鏡男も痴漢行為を認めました。 本人も認めている上、もうこんな事に時間を使いたくないという気持ちが勝ったのでその場で名刺を貰って後の事は駅員さんに通報等を任せて帰ることにしたのですが。 3人の男性は私が痴漢されていた事をしっかりと証言してくれたのです。 同僚でも、友人でもない乗り合わせの乗客。 最寄り駅から自宅へ向かう道すがら、ふと気付き本当に恐ろしい気持ちになりました。

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  • 鴉様 色々と恐ろしいですよね。 止めるにも勇気は必要かもしれませんが…
    珠元
  • そんなに見てるのに誰もとめないって、ホント恐ろしいな。
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