
長編 emoji_events 殿堂入り
リアル 後編
しずく 2016年7月20日
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るんじゃないか」
としか言えなかった。
その後、俺はS先生の言い付けを守って毎月一度、S先生を訪ねた。
最初の一年は毎月、次の一年は三か月に一度。
○○も、俺への謝罪からか何も無くても家まで来ることが増えたし、S先生のところに行く前と帰ってきた時には必ず連絡が来た。
アイツを見てから二年が経った頃、S先生から
「もう心配いらなそうね。Tちゃん、これからはたまに顔出せばいいわよ。でも、変な事しちゃだめよ」
って言ってもらえた。
本当に終ったのか…俺には分からない。
S先生はその三ヶ月後、他界されてしまった。
敬愛すべきS先生、もっと多くの事を教えて欲しかった。
ただ、今は終ったと思いたい。
S先生のお葬式から二ヶ月が経った。
寂しさと、大切な人を亡くした喪失感も薄れ始め俺は日常に戻っていた。
慌ただしい毎日の隙間にふとあの頃を思い出す時がある。
あまりにも日常からかけ離れ過ぎていて、本当に起きた事だったのか分からなくこともある。
こんな話を誰かにするわけもなく、またする必要もなく、ただ毎日を懸命に生きてくだけだ。
祖母から一通の手紙が来たのはそんなごくごく当たり前の日常の中だった。
封を切ると、祖母からの手紙と、もう一つ手紙が出てきた。
祖母の手紙には俺への言葉と共にこう書いてあった。
“S先生から渡されていた手紙です。四十九日も終わりましたのでS先生との約束通りTちゃんにお渡しします“
S先生の手紙、今となってはそこに書かれている言葉の真偽が確かめられないし、そのままで書く事は俺には憚られるので崩して書く。
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Tちゃんへ
ご無沙汰しています。Sです。あれから大分経ったわねぇ。
もう大丈夫?怖い思いをしてなければいいのだけど…。
いけませんね、年をとると回りくどくなっちゃって。
今日はね、Tちゃんに謝りたくてお手紙を書いたの。
でも悪い事をした訳じゃ無いのよ。
あの時はしょうがなかったの。 でも…、ごめんなさいね。
あの日、Tちゃんがウチに来た時、先生本当は凄く怖かったの。
だってTちゃんが連れていたのはとてもじゃ無いけど先生の手に負えなかったから。
だけどTちゃん怯えてたでしょう?
だから先生が怖がっちゃいけないって、そう思ったの。
本当の事を言うとね、いくら手を差し伸べても見向きもされないって事もあるの。
あの時は、運が良か
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- これ1番好き匿名人間
- これ1番好き匿名人間
- これ1番好き匿名人間
- 最後の方怒涛の展開すぎてガチおもろ名無しさん
- コイツ糞弱かったなアリンコより弱かった俺の中にいるモノ
- 悪霊にはワクチン行き渡ってるで。ものもらい相続税
- こぉ言う悪霊にこそコロナウイルスに取り憑いて貰いたいものですなぁ(笑)殺したい
- 「アイツ」の正体ってなんだったのだろう。誰かの嫁さん?ゆーへー
- 物語としてちゃんと練られてるのがとてもよいなぁ。最後の告白を読むと、何でTが○○を責める記述が多いのか、なぜその後の話でも○○の登場頻度が高いのかがわかる。も
- 良くあるコピペですね。環七