
さっき、11月の「購買部のシャッターから伸びる白い手」を書き込んだ大学1年の俺だ。
今回は、冬休みを目前に控えて外が完全に凍りついていた、12月下旬の終業式当日の話をさせてほしい。
その日、終業式が終わった後に俺は陸上部の冬の自主練を一人でこなしていた。練習を終え、すっかり日が落ちて誰もいなくなった極寒の部室に一人で戻り、凍える手で着替えをしていた時のことだ。
吐く息が白くなるほどの静寂の中、あの学校の怪談は冬の本格的な絶望を仕掛けてきた。
今回は、錆びついたロッカーの奥から響く死のメロディに凍りつかされかけた、高2の12月の怪談をここに詳しく吐き出させてほしい。
静まり返った部室で制服に着替えていた時だった。
チリン、チロリン……と、部室の隅にある、長年使われていない錆びついた大型ロッカーの中から、微かにオルゴールの音が聞こえてきた。
なんだ、と思って耳を澄ました瞬間、全身の毛穴が逆立った。
それは楽しげなクリスマスソングを「完全に逆再生」した、おぞましく歪んだ音調のメロディだった。
その不気味な音が響くたびに、部室のコンクリートの壁や床が、ジワジワと白い霜で覆われて真っ白に凍りついていく。
同時に、俺の足元から感覚が急速に麻痺し始め、まるで地面に氷で縫い付けられたように一歩も動かせなくなった。
高1からの地獄の経験で、脳裏に最悪のルールが弾け飛んだ。
そのおぞましい逆再生の音楽から耳を塞いで逃げ出そうとしてはならない。
音楽が完全に終わるまでの数十秒の間に、【部室の工具箱にある『金属製の針金』を一本手に取り、その錆びついたロッカーの南京錠の穴に力任せに突き刺して、中のオルゴールの歯車を物理的に破壊】しなければならない。
もし破壊できずに音楽を最後まで逆再生で聴き終えてしまえば、全身の血液が瞬時に凍りつき、凍死体となってそのロッカーの中に収納される。
「動け……っ、俺の身体……!!」
ジワジワと霜が俺の靴を侵食し、太もものあたりまで感覚が消えかけていく。
オルゴールのテンポが徐々に早くなり、曲の終盤が近づいているのが分かった。
俺は這うようにして手を伸ばし、近くの棚に置かれていた部活の工具箱から、1本の太い針金を掴み取った。
感覚の消えかけた足を踏ん張り、全体重をかけてロッカーの南京錠の細い隙間へ、その針金を力任せに突き刺した。
ギチギチギチッ、バキッ!!!
手応えと共に、ロッカーの奥で何かが噛み合うのを無理やり引きちぎるような、鈍い破壊音が響いた。
後日談:
- 俺は荷物を引ったくるように掴むと、ロッカーには一切触れず、全速力で走って家に逃げ帰った。 冬休みが明けてからあの部室のロッカーを確認したが、南京錠は錆びついたまま固く閉ざされており、中にオルゴールなんて入る隙間すらなかった。 【噂すら誰も聞いたことがない、冬の静寂の裏で生徒の血液を凍らせにくる未知の呪い】だった。 だけど、あれは絶対にただの寒さによる幻聴なんかじゃない。 なぜなら、あの怪談があってから大学1年になった今でも、俺は【冬に街中で楽しげなクリスマスソングを聞いたり、オルゴールの音を聞くだけで、あの逆再生のおぞましい旋律がフラッシュバックし、自分の足元が急激に冷たくなって動けなくなるような強い恐怖に襲われる】んだ。 特に12月になると、あの日針金を掴んだ右手の指先が氷のように冷たくなり、激しい動悸が止まらなくなる。 高2の冬、あの学校の怪談は、冬休みの開放感の裏側で、俺の身体を凍てつく棺桶に閉じ込めるためのを仕掛けた。 次は1月だ
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