
長編
深夜喫茶「見えない交渉」
まなみ 2019年3月1日
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なってね」
「通り魔事件?」
俺は聞き返すようにいうと、急いでテレビをつけた。
何度かチャンネルをかえると、やがて緊急生放送、と書かれたテロップ画面を見つけた。
喫茶店から近い見慣れた○手駅をバックに、一人の報道記者らしき男が、青ざめた顔で必死にリポートしていた。
「この事件により、計13名が重軽傷を負いました。被害者の方の安否が気遣われます。以上現場からの……」
現場から場面がかわり、大勢の警察官が一人の男を連行していく場面に切り替わった。
「ただいま容疑者が連行されて、」
新たなリポーターが実況を始めた。が、俺はそこで愕然としてしまった。
テレビ画面の中、連行されて行く男の顔に見覚えがあったからだ。
忘れもしない。深夜、あの女性を説得していたメロンちゃんが、窓の外を指差していた時、通りかかった通行人の男性……間違いない、あの男だ。
俺が頭を下げたあの男、
何で……。
こんな偶然があるのかと自問自答しそうになった時、俺はふとあの言葉を思い出した。
確かメロンちゃんは俺にこう言った。
「帰りは歩きですか?」、「電車じゃないんだ」と、
言い知れぬ不安に突如襲われ、俺は怖くなりいてもたってもいられなくなった。
何なんだ。
一体何が起こった?あの夜何があったんだ!?
必死に考えたがうまく頭が働かない。
会うしかない、メロンちゃんに。
もう一度会って本人に確かめるしかない。
俺はそう決心し、夜を待った。
いつもと同じように出勤し、メロンちゃんが入店する時間まで待っ。
やがて、時計の針が二本とも真上を指したとき、店のドアベルが鳴った。
腰まであるゆるふわな髪の毛をかき上げながら、メロンちゃんが入店してきた。
ヘッドフォンを耳から外し、いつもの場所、いつもの席に着く。
「いらっしゃいませ……」
と、俺は言ってから、オーダー機は持って行かず、あらかじめ用意したメロンソーダを持って、メロンちゃんの席に向った。
「メロンソー、」
メロンちゃんが俺に注文するが、俺は彼女が言い終わる前に、メロンソーダをテーブルに置いた。
「昨日のお礼だ。で、あんたに聞きたい事がある」
ぶっきらぼうな物言いは百も承知だ。だが、何となくだが、俺はメロンちゃんにどこか恐怖を感じていた。
それが分かるまでは警戒を解くわけにはいかない。
「聞きたい事……ああ、ニュース、見たんですね」
無
後日談:
- ある一定数投稿すると、前の投稿が消えてしまうみたいですね。なのでこれを最後にします。
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- 面白いだけに残念でならん‥ もし他の話を書いた際には、コメント欄等で知らせてください!するめ、
- 他の名前でどうぞ!匿名