
長編
深夜喫茶「見えない交渉」
まなみ 3日前
chat_bubble 2
29,405 views
表情のままメロンちゃんがボソリと答える。
けだるそうなぼんやりとした瞳。
何でこの子はいつもこうダウナーなんだ?
「ニュース?じゃあアンタやっぱり何か知ってるんだな?」
俺は苛々しながらもメロンちゃんに聞いた。
「ええ、まあ」
「あんた昨日言ったよな?帰りは歩きか?って、俺がバイクだって答えたら、電車じゃないんだって、そしたらどうだ、俺の丁度帰宅時間に、○手駅で通り魔事件が起こった。しかも事件を起こしたのは、あんたが昨日の深夜、指をさした、窓の外にいた男だ!」
「あれは、あなたがそうしろって言ったから……」
「俺が?一体何言ってるんだ?」
「私聞きましたよね?この子だけでも開放してもらえますかって。あなたにも見えたでしょ?少しだけだったみたいだけど、白いワンピースの女……」
「白いワンピース……そ、そんな!?いや、あれは錯覚でそのっ」
俺は言葉に詰まった。
なぜ、なぜあの時の事をメロンちゃんは知っている?
確かに驚きはした。だが何を見たかは誰にも話していない。
「正直驚きました。私以外にも見える人がいるんだって。とにかく、あの白いワンピースの女性はどうしようもなかったんです」
「どうしようもって……何がだよ?何なんだよ!?」
俺は思わず怒鳴り散らしていた。
だが、メロンちゃんはそんな俺の怒鳴り声にも微動だにせず口を開く。
「だって、あの白いワンピースの女性、皆殺しにするって言ってたんですもの。私の横にいた女性を使って、私とあなた、厨房にいる人も、そして朝になったら、この店の前を通る、幸せそうな顔をした人も皆……」
「み、皆殺しって、そ、そんな……!?」
「あの赤いワンピースの女性が、店に連れて来ちゃったみたいですね。この店、留まりやすい場所みたいだから。霊道って言うのかな?」
留まりやすい?霊道?さっきから何を言ってるんだこの子は??
いや、それよりも、
「ま、待ってくれ、じゃああの時、この子は諦めてもいい、でもそれ以上はだめだって言った後、外の男を指差したのは……!?」
麻痺していく心に、悪夢のような恐怖が膨れ上がってゆく。
「はい、赤いワンピースの女性の代わりに、あの人に憑くようにと、」
そこまで聞いて、俺は突如いう事を聞かなくなった足腰を支えられず、床にへたり込んでしまった。
耳元に、ストローを鳴らす音が響いてくる。
「私とあなた、共犯ですから。罪は一
後日談:
- ある一定数投稿すると、前の投稿が消えてしまうみたいですね。なのでこれを最後にします。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(2件)
- 面白いだけに残念でならん‥ もし他の話を書いた際には、コメント欄等で知らせてください!するめ、
- 他の名前でどうぞ!匿名