
長編
連れて行かれる
匿名 5日前
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、そこから無事に帰してもらえるかどうか…。
僕は、抵抗することでこの「何か」を怒らせてしまった。
このまま連れて行かれたら二度と「こっち側」には戻ってこれない。
二度と家族の顔も見る事はできない。
そう思えてなりませんでした。
そう思わせるのには充分すぎるほど、「何か」が僕を引っ張る勢いは激しさをましていたのです。
僕はその暗闇を見ている事に耐えられなくなり、視界を元の位地に戻しました。
例え寝顔だったとしても、父の顔を見ることで、なけなしの勇気を絞りだそうとしたのです。
…しかし、
父の顔は見えませんでした。
それどころか、さっきまで布団を掴んでいたはずの僕の右腕も、布団も…。
僕の視界は360度、闇に包まれました。
この恐怖が、皆さんに伝わるでしょうか。
さっきまで確かに見えていたものが、いきなり見えなくなる恐怖。
そして、その中で想像すらつかない「何か」に引っ張られる恐怖。
しかし、まだ終わってはいませんでした。
僕の右腕にはまだ、掴んだ布団の感触が残っていたのです。
まさに絶望の中の一筋の光。
僕は半狂乱になりながらも、その感触を握り締め続けました。
「何か」が僕を引っ張る勢いは、すでに「引っ張る」よりも、「揺さ振る」と言えるほど激しくなっていました。
まるで怒り狂っているかのように。
ががががががががががががががががががががががががががが
ががががががががががががががががががががががが
がががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががっっ!!!
僕は叫びながら、必死に耐え続けました。
「嫌だっ!!行きたくないっ!!!助けてっ!!!!父さんっっ!!!助けてぇっ!!!!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああっっっ!!!!!」
それからどうなったのか、実は全く覚えていません。
気付けば、僕は仏さんの部屋の天井を眺めていました。
あれから時間はさほど経っていなかったのでしょう。
辺りは暗く、まだ深夜の様な静けさでした。
僕の身体は全身汗で濡れていて、
居間から聞こえる古時計の振り子の「カチッ、カチッ」という音が、一定のリズムで、僕の身体へと染み込んでいきます。
隣には、まるで振り子のリズムに合わせるかのように寝
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- あらよっと♪あっち側〜♪こっち側〜♪とめいとぅ
- 連れてかれろ!なの。