
数年前、自宅近くのとある民家を解体していた業者が、土に埋まっていた錆びだらけの日本刀を発見しました。
そこは“米倉さん”と呼ばれていた高齢の男性が一人で住んでいた家でした。
その刀の発見を知った近所の老人たちは、一気に騒ぎだしました。
「あの時の刀じゃないか?」と。
あの時というのは、今から半世紀近く前に発生したとある殺人事件のことでした。
今は駐車場になっている米倉さんの家の隣には、以前は民家があったそうです。
そこには米倉さんのお兄さんと奥さんと息子さんの三人が暮らしていました。
ただある夏の日に三人とも自宅で亡くなっていたそうです。
おそらく旦那さんが無理心中をしたのだろう。
みんなそんなふうに思ったそうです。
旦那さんが息子さんと奥さんを日本刀で殺害したあとに、自分も首を斬って自殺したのだと。
ただ不思議なことに、凶器の日本刀は現場からは見つからず、結局無理心中ということで片付いたらしいのです。
でも何人かの老人たちは、米倉さんを怪しんではいたそうです。
元々は旦那さん(お兄さん)の奥さんは米倉さんの奥さんだった人で、米倉さんが戦争で南方に向かっている間に、勝手にお兄さんと再婚したのでした。
そんなわけで、復讐したんじゃないか? と一部の方は思っていたそうです。
でも結局のところ、凶器の日本刀も見つからず、目撃者もいなかったことから、旦那さん(お兄さん)による無理心中として、事件は半世紀近く前に終結していたのでした。
ところがです。
前述の通り米倉さんが亡くなって空き家になった民家を解体したところ、日本刀が出てきたのでした。
ただ警察による鑑定や捜査などはなかったはずなので、本当にそれが当時使用された物なのか、正確にはわからなかったはずです。
でも、当時を知っているほとんどの方は“やっぱりか”という感じでした。
······私の知っている米倉さんは背の高い無口な老人というイメージで、どこにでもいる普通の老人です。
だけど思い出してみると、気になることをどこにでもいそうなその老人から言われたことがありました。
私が中学校の帰りに、米倉さんの家の隣の駐車場で、友人と話していたんです。
それは友人が彼氏が浮気をしているのだと言って泣いていて、私が仕方なく慰めている時でした。
その時に、ゆっくり足を引きずるように、米倉のお爺さんが前の道を歩いてきたのです。
ゆっくり歩いていたので、私たちの内容が聞こえていたのでしょう。
突然、声をかけてきたんです。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


