俺が高校生のとき、母校の小学校が古い木造の校舎から、新しい綺麗な校舎に変わった。新校舎はやや離れた場所にできて、旧校舎は古い校庭や体育館とともに廃校のように佇んでいた。 旧校舎は地域の祭りで使われることになり、俺たちは準備や運営及び片付けを手伝っていた。 そして、一通り片付けが終わったあと友達が 「なあなあ、旧校舎で肝試しやろうぜ。」 祭りの前からこういった話はあり、しかも今はたまたま鍵を預かっているので、肝試しをするにはちょうどいい。 そして旧校舎の昇降口まで来た。 ルールは、3階奥の児童会室まで行き戻ってくるというもので、証拠としてスマホを使って児童会室前で写真を撮ることになっていた。 男3人でジャンケンをして、1人ずつ行くことにした。俺は一番最後になり、ラッキーだったが一方で一番暗くなる時間に行かないといけない。 1人目が終わり、2人目が終わり、 「全然怖くなかったぜ！」 「本当だよな！」 俺は旧校舎に入りかけながらも、 「先に帰るなよ。」 「帰んねえよ！お前も小便ちびんなよ！」 2人はケタケタ笑っていた。 そんなムードなので、ややムカついた気持ちが恐怖を打ち消していた。 3階まで上がると、静かな校舎の様子に少し怖くなってきた。 かつて通っていた小学校なのに雰囲気はかなり違う。 児童会室は昇降口から一番遠くにあり、知っている廊下なのに長く感じた。 そして、児童会室が見えてきた。 あたりは暗いがスマホの補正を使えば児童会室の表札までばっちり撮れるはずだった。 児童会室の外観だけ撮ればいいのだが、俺は折角なので自撮りしてみようと思った。 そして、児童会室に背を向けて、俺のスマホのカメラを開き、自撮りモードにした瞬間！ 自撮りモードの俺の顔の後ろに白い謎の顔が映った。 俺は、パニックになりスマホを握ったまま逃げていった。階段を駆け下り昇降口が飛び出ると、友達2人は怪訝な目で俺を見た。 俺が今あったことを話すと、2人は腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。2人は、下らない作り話だとでも思っているのか信じてもらえなかった。 そして、家に帰る俺たち。 実は、あの逃げるときに弾みでカメラをビデオにしていて、短い動画ができていた。 家でその動画を再生してみると、俺の逃げる足音を追いかけるように 「待てー！！」 と言う男のような低い声が入っていた。