
中編
パチッパチッ
まなみ 4時間前
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でした……足元から何か、ゾワゾワとした物が這い上がってくるような感じがしたのです。
それは、私の体にまとわりつくようにして、首元まで登ってきました。
数秒たち、それが激しい悪寒なのだという事に気がつきました。
寝起きとは思えないほど目を見開き、私は暗闇の母の部屋を凝視していました。
ゴクリ、と鳴らした喉の音が、静まり返った部屋の中に響きます。
最初に部屋を覗いた時に気がつくべきでした。
今しがた、明かりが点いていた母の部屋の中央に敷かれた、布団の中で眠っていた人物に。
母は、起きてなどいなかった。
じゃあ、部屋の真ん中で立っていた人物は……誰?
あれは寝巻きだったか?そもそも顔は?頭の中で、母の顔が歪に曲がって識別できなくなりました。
次の瞬間、
「スゥースゥー」
母の寝息が聴こえてきました。
暗闇に慣れてきた私の目に、中央に立つ何者かの人影が、ふっと目に止まったのです。
瞬間、私はその場で反転し、泣き叫びながら部屋を飛び出していました。
直後に、
「パチッ」
と音が鳴り、部屋の明かりが背後から射していましたが、私は振り返る事なく、父の部屋へ逃げ込み、眠っていた父を乱暴に揺さぶり起こしていました。
以上が、私の母にまつわる話です。
一応あの時母に確認はしたのですが、朝まで一度も起きていないと一蹴されました。
ちなみに部屋の明かりは、父親が確認に行った時は点けっぱなしになっていたとの事です。
おそらく私が寝ぼけていたんでしょうね。
そうだろう、そうに違いないと思い、あれから数年たったある日、同じように真夜中、母の部屋から、
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
「パチッ」
と鳴った時がありましたが、震える眼をギュッと閉じ、布団の中に潜り込んだのを、今でも鮮明に覚えています。
後日談:
- ダラダラと怖い話を投稿させて頂いております。 コメントは基本的に読みません。ごめんなさいね。
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