本当にあった怖い話

25年も前の話になります。当時、中学生の時に仲の良かった友人が鹿児島に住んでいたので、大学生の私は彼女に会うために鹿児島に遊びにいきました。

友人の自宅は鹿児島県鹿児島市S地区にあります。閑静な住宅街で、広い戸建てが多く建ち並んでおり、とても良い地域だと思いました。

友人とその家族を少し説明しておきます。友人一家は私と同じ福岡に住んでいたのですが、お父様の転勤で鹿児島へ。家は会社借り上げの4LDKぐらいの戸建てでした。友人は真面目で保守的、ごく普通の女子大生、妹は少し繊細な性格だけど真面目な女子高生。お母さんは奄美大島出身、線が細い感じで、でも世話焼きな感じの明るい方。お父さんは大企業勤務、性格は良い意味で大雑把、豪快な感じの方でした。私も二泊ほどさせてもらい、鹿児島の旅を満喫して帰りました。

帰ってから数ヶ月経った頃、友人から電話が何度かあり「家に何かいるんだよー怖い。この前そう思わなかった？」と。私は何も感じなかったので「別にー　なになに？大丈夫？」と答えました。

なんでも友人の話では「階段や部屋の隅に黒いモヤモヤした人影が見える」というのです。友人だけではなく、妹やお母さんも見えるといい、家で大騒ぎしているとのこと。お父さんだけは何も見えないそうで「何もおらん！何言ってるんだ」とバッサリ否定するそうですが、女性三人はみえてしまうそうです。

ちなみに、私の友人はこれまで心霊の話などしたことはなく、いわゆる「みえる人」ではありません。私もこんな話は初めて聞きました。

それから数週間経過し、また電話がありました。（スマホがない時代です）

「今帰ってきたら、妹とお母さんがおらん。怖くて家にいられんって」ずいぶん焦った声でした。事情を聞いたところ、妹さんとお母さんは、先日の黒いモヤモヤが家中に広がって、もう怖くて家にいられないと車でファミレスに行ってしまったそうです。

「そんなに？え、大丈夫？」と私も心配になり「今からどこか逃げなよ。おじちゃんは（お父様は？）」と電話で話しました。お父様は仕事で遅くなるそうで、結局友人も怖くなり、ファミレスのお母さんに合流し三人で帰ったそうです。

その後、家族会議があり、お父さんだけは「そんなもん気のせいだ。何もおらん」とずっと言っていたのですが、女性三人の圧力に負け、別の戸建てに引っ越しをすることになったそうです。