
短編
はしゃぐ子供
匿名 2日前
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両親が健在の頃、お盆休みを使って実家に泊まりに行った。
その日、兄家族も遊びに来ていた。
夕飯後兄夫婦と軽く晩酌をして、甥っ子が寝付いた後私もお風呂に入る事にした。
全身洗い終わり浴槽に浸かってゆっくりしていると
「きゃははっ」
と子供の声が聞こえた。
甥っ子が起きてきたのかな?と思って扉を開けると誰も居ない。
“気のせいかな?”
と再度浴槽でゆっくりしていると
「うひゃひゃっ!どぅー…ふふっ」
と明らかに扉の向こう側で子供のはしゃぐ声が聞こえた。
ただ、声が聞こえただけ。
ふと気付いたのが、此方に来る時に出る足音・で立ち去る足音等が聞こえない。
そこに“居る”のが何となく気配みたいなものがあって解る。
浴槽からあがって即扉を開ける。
途端に消える気配。
そのまま身体を拭いて衣類を着て家族の集まる部屋に行くと、やはり甥っ子は寝ている。母親に今あった事を話すと母は言う。
「あー、ここはしゃーないわ。だって、スグそこに焼け野原になった所があるし、それでのうても震災で亡くなった人ぎょーさんおるからなぁ…」
と言われた。
後日談:
- 今は両親とも他界して消滅している実家ですが… 当時は神戸の鷹取って所にありました。
この怖い話はどうでしたか?
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- ゾクッときましたあけみちゃん
- ななしこ様 声聞いた時はゾクッとしましたが、震災の~と考えると、今でも生きてる時のように遊んでたりするのかな?と思い、何だかやるせなく思いました。咲 桜花
- 恐~っ!神戸鷹取は震災で倒壊した家屋がたくさん焼けた。長田地区でも、同じような話を聞きましたョ。鳥肌が…。ななしこ