
長編
さとし君、ありがとう
ぼろぼろ 2日前
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そして、そのコーナーのすぐ側に
レジ待ちの最後尾の人が並んでいたので
そこを走り抜けて行く事は
どう考えても無理が あります。
“もしかしたら、列に親御さんが並んでいて
親御さんと一緒に並んでいるのかな?”
と思い、覗いてみたのですが
男の子は居ませんでした。
不可解ではあったのですが
とりあえず、目の前の果物を
買おうかどうか思案していると
果物の横に 一つだけ
“モバイルバッテリー” が
置いてありました。
カゴも持たずに両手で物を持っている人も
居ましたので、そんな誰かが落としてしまったのかな?
と思いつつモバイルバッテリーを買う事が出来ました。
レジに並びながら周りを注意して
見ていたのですが
例の男の子は居ませんでした。
その日、実家の母からも
こんな話を聞きました。
実家のすぐ近くに従兄弟の家が
あるのですが
たまたま家を建て直す事になっていて
家族はアパートに仮り住まいしていたのです。
地震のあった前日、最後の荷物の整理に
家族で来ていたのですが、
叔父さんだけ、
“この家ともお別れだから今晩はここで寝る”
と言って一人で残ったそうです。
そして、未明の地震。
明るくなってから母が外に出てみると
余震が続く中、男の子が一人、家の前を
走り去って行ったと言うのです。
親も一緒なのか?と心配になった母が
道路に出てみると男の子は一人だったそうです。
危ないと思った母は自分の年も忘れて
夢中で追いかけたそうです。
曲がり角を曲がった所で男の子は
従兄弟の家の前で立ち止まり
ジッと従兄弟の家を見ていたそうです。
母は無人の従兄弟の家に何かあるのか?
と思い、急いで中に入ってみると
怪我をして動けなくなっていた叔父さんを
発見して驚いたそうです。
アパートに居た叔母は駐車場から
車が出せない状況だった事と
もしかしたら叔父さんは妹(私の母)の家に
避難しているかもしれないと思い、
明るくなるまで下手に動かない方が良いと
判断して、待機していたそうです。
因みに、叔母はケータイ電話を
持っていませんので、
連絡手段が無かったのです。
しかし、早朝に母に発見され叔父は無事に
病院で手当てを受ける事が出来たようです。
一段落着いた時、母は男の子の存在を
思い出したそうです。
叔母に話すと
“それはきっと、さとしに違いない”
“さとしが助けてくれたんだ”
そう言って、泣いた
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(5件)
- 例えば話しだけど、トイレ話が凄く怖いけど赤
- カルマさん、仰る通りだと思います。この話は怖い体験としてではなく、不思議カテゴリーで投稿させて頂きました。あの時、男の子を追跡しようと思わなければモバイルバッテリーを入手する事も出来なかったわけで…忘れてしまっていた事を反省するとともにシッカリ供養を続けていこうと思わされた出来事でした。お母たん
- 霊が全て怖い存在でなく、身近な人を見守ってくれているとても心強い存在であることを感じさせてくれるエピソードだと思いました。いたましい災害にあわれて大変な思いをされている方は1日でも早い平穏な日常が訪れるようにお祈り致します。カルマ
- 匿名さんも北海道の方でしたか。ご無事で何よりでしたね。さとし君とは あまり遊ぶ機会も無かったので、あの時は正直、さとし君の事も忘れてしまっていて、まさか さとし君だなんて思いもしませんでした…。落ち着いたらお墓参りに行こうと思います。お母たん
- 私も北海道在住です。私の所は震度4、停電ぐらいですみました。色々大変でしたね。さとし 君は、今でもご家族を守っているんですね。暖まる話しありがとうございます。匿名