
大学生活を始めたばかりの冬のある晩、私はお金が厳しくなり、アルバイトを探していた。授業が終わった後、ネットでシフトが柔軟な仕事を探していると、ある古い廃工場の清掃スタッフの求人を見つけた。
その工場は地域の外れにあり、廃業してから何年も経っているらしい。私の直感は、その仕事に少し不安を抱かせたが、時給が良く、シフトも土日だけだったので、応募することにした。
求人情報には電話番号が記載されていて、すぐに連絡を取った。出たのは若い男で、「面接の日程を決めよう」と言われ、すぐに日を決めた。
面接当日、指定された場所に向かうと、信じられないことに、工場は完全に崩れ落ちていた。周囲には何もなく、ただの更地が広がっていた。求人の画面を確認し、住所が合っているか再度確認したが、間違いなくここがその場所だった。
不安が募り、私はすぐにその男に電話をかけ直した。しかし、何度かけても電話は繋がらなかった。果たして、あの時の電話の主は誰だったのか、今でも解明できないままでいる。時折、廃工場の跡地を通るたびに、その男の声が耳に残り、恐怖を感じるのだ。どこにも存在しないはずの仕事に、私は一体どれだけの恐れを抱いていたのだろうか。私はただ、普通のアルバイトを求めていただけなのに。
その後、友人にその話をすると、彼女もある奇妙な体験をしたと言った。新たな恐怖が私の中で目覚めていくのを感じた。
人の声がしても、実体がないのだとしたら、何が本物で、何が偽物なのか。私は今も、その答えを探している。
その工場の周りには、求人広告が貼られた古い木の看板が残っていた。いつか、誰かが私のようにその看板を見て連絡を取るかもしれない。そう考えると、寒気が背筋を走った。私の元へ戻ってくるのは、あの男の声なのか、それとも…?
いつか、真実を知ってしまうのだろうか。私はその不安を抱えたまま、普通の日常を送ることにした。
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