
長編
展望台
匿名 2016年1月19日
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私が20歳の頃に体験した話なのですが
夏の終わりくらいの時期で、たまたま夕方からダブルデートみたいな感じで男友達の車に男女4人で海岸沿いをドライブデートをしていました。
男友達A君「この前さ!友達と一緒に車で走ってたら海岸沿いに展望台見つけたんだ!今から行ってみない?めっちゃ夜景キレイなんだ〜♪」
辺りも少し薄暗くなり、内心怖いなぁ…って思ってた私ですが友達のB子とC君が「イイね!行こう♪行こう♪」って2人共ノリ気で行く事になりました。
何分くらい走ったでしょ?辺りはスッカリ暗くなり、周りは山と海で人気もない田舎道 (本当にこんな所に展望台なんてあるのかしら?)って私は半分疑い気味になってきた時でした。
A君「あれ?道に迷った!確かこっちだったような?」記憶が曖昧で余り覚えてないような感じでした。しばらく走ると大きなトンネルが現れトンネルを抜けるのかと思いきや、トンネルのわき道の坂を上り始めました。
A君「よかった!たどり着けないかと思ったよ〜!」坂を登りきって周りを見渡すと何軒か民家がありました。普通に人が暮らしてる ごく普通の一軒家が二軒並んだその先に車が通れない凄く細い砂利道が現れました。
A君「ここから車から降りて歩いて行こう!車通れないんだよね!」
辺りは真っ暗で外灯一つない少し広めの道に車を停め私達は歩き始めました。
突然 思い付いた事なので、誰一人懐中電灯も持たず怖々と歩いてた事を思い出します。
少し歩くと曲がり角に外灯がポツンと姿を現しました。(やっと光だ!怖かったんだよねぇ!)って私の怖さは少し和らぎました。その時です!
外灯の柱の裏にスーツ姿の37〜8歳くらいのサラリーマン風の男性が立っていました。顔の周りが黒いモヤがかかっていて表情は わかりませんが、悲しそうに立っていると思いました。(絶対 幽霊だ…見なかった事にしょう。)と私は思い、外灯を背に歩いていたら背後から変な音が聞こえ始めた…
「ザっ!ザっ!ザっ!」っと人が砂利道を歩く時の足音です。私は急に冷や汗が出始め(付いてきた…絶対に後ろを振り返ってはダメだ!むしろ振り返れない…)頭の中がパニックになっていました。怖さで私の歩幅は大きく歩いているはずなのに足音はだんだん近づいてきて、とうとう真後ろ辺りまで音が近づいてきた その瞬間…
後ろから覆い被さるように背中に冷たく重く、急に金縛りにあったみたな感じになりその場に座り込んでしまいました。
(背中に付いてる…さっきのサラリーマンだ!と思いました)
何故か声だけは出せて先頭を歩いているA君に向かって「待って!」A君は 立ち止まりどうしたの?みたいなキョトンとした顔で振り返りました。すぐ前を歩いてるB子もC君も立ち止まり同じ表情
二言目に「助けて…!」A君は すぐに察したみたいで動けない私に勢いよく駆け寄ってきました。A君「どした!!?大丈夫かぁ!?」私「後ろに…背中に乗っかってるの…」B子とC君は何の事だか?みたいな顔で立ち止まって見ていました。
A君がテレビで見たように私の背中を3回くらい叩いてからさすり始めました。背中 肩 とさすり 少しづつ暖かみを感じ楽になり始めました。
私「ごめんね!途中の道で居るのわかってたけど、皆んな怖がると思って隠してたの!!」
A君「大丈夫だから気にすんな!今は俺の温もりを感じろ!もう寒気ないか?大丈夫か?」って ずっと側でさすってくれてたらだいぶ楽になり気が付いたら目から涙がでてました。
B子もC君も ようやく状況が理解できたみたいで、「うちらも一緒にいるから大丈夫!怖くない!」って勇気つけてくれていました。
背中の冷たさも重みも消えかけ落ち着いて立つ事が出来ました。
私「ごめんね!心配かけて!私は大丈夫だから、せっかく来たし展望台見に行こう!」って伝えました。
大丈夫かぁ?って皆んな心配していたけど、スッカリ良くなり歩いていたら目の前に少し開けた場所にたどり着きました。
A君「この先だよ!」と指を指していた。
私には何を言っているのか わからなかった…暗い闇の中にあるのは とてもじゃないけど展望台と呼べる建物では ありませんでした。
目の前に現れたのは、凄く大きな木で出来た鳥居で、鳥居をくぐるとすぐに木の階段
木の階段の隙間から白い手がたくさん生えていたのです!(こんな所 登れるわけないじゃない…何を言ってるの!?)
ふと立ち止まって周りを見渡すと周りを崖の海に囲まれていました。
(ここどこ?なんなの?展望台は?皆んなには どう映ってるの?)
その時 突然B子が叫び始めました!
B子「キャー!!私の足…私の足!!」
皆んな一斉に足を見ました。
B子「私の足に子供が巻きついてる!!」
もう何が何だかわからなくなり、とにかくB子を皆んなで抱きかかえ逃げるように その場を後にしました。
帰りの車の中、後ろを振り向くと さっきのサラリーマンの男性やら白いワンピースの女性やら数体の幽霊が見えました。
(付いて来なければ良いのだけど…)と私は少し心配になっていたのですが無事に近くのコンビニにたどり着きました。
B子もスッカリ元気になり その後は居酒屋で皆んなお酒を飲みながら忘れたように違う話をして解散になりました。
その後 何年かたって 皆んなであの時の話をしたら、あの場所までの道を覚えていませんでした。当の本人のA君は、自分から誘ったくせに道を全く覚えてませんでした。
今となっては あの場所は何だったのだろうと不思議で仕方ありません。
私は あの体験をしてから昔以上に霊体を見るようになりました…。
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