
長編
不思議な体験
匿名 2015年5月12日
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初めに言っておきます。
私自身、霊感があるわけでも幽霊を見たことがあるわけでもありません。
ですが不思議な体験はよくしてきましたので、その中の一つをお話させていただきます。
私の幼いころ、両親が登山が好きだったもので頻繁に連れて行かされていました。
普段は登山口まで車で行くんですが、この日は登山客を乗せたバスで行くことになりました。
その頃の私は幼いということもあり、父に「ここのバスは帰りに乗り過ごしたら次の日まで迎えに来ないからな」と言われれば信じてしまうほど純粋だったと思います。
「ここで野宿は嫌だ」と終始帰ることだけを考えていました。
そのため、下山最中は遅く歩いている両親よりも先に進んでいきました。私だけ先に行って、バスの運転手に待っててもらうよう声をかけるつもりでした。
早歩きで下山していくとやっと木々が生い茂っているところまできました。
山は大抵上に行くほど木々が生えていないので、私は登山の目安にしていました。
「もう少しで駐車場まで行ける!まだバス行かないで~!」
と考えていると、周りに一緒に下山してきた人たちがいないことに気が付きました。
耳を澄ませても人の声はしません。
急ぐあまり私が道に迷ってしまったのではないかと思っていました。
一本道だし迷っていないはずです。じゃあどうして……?
不思議に思って道を引き返していきました。少しすると、先ほどまで聞こえなかった水の流れる音が聞こえてきました。
さっきは水の音なんてしたっけ?
などと疑問に思いつつ、音のする方を見ると、獣道らしき先に水のせき止めがありました。
「あっ、ダム~!!(この時の私はダムだと思い込んでいました。今冷静に考えると普通の水のせき止めです)」
獣道を抜け水のせき止めにやってきました。
滝みたいな音から綺麗で爽快なものを想像して近寄りましたが、それとはかけ離れていました。
人工的に作られていて、上の段下の段でどす黒い色の水がせき止められていました。
上の段のせき止めからは、「さっきの音はどこ行ったの?」と思うほど穏やかにちょろちょろと水が流れ出ていて、コンクリでできているせき止めにびっしり苔が生えていました。
例えで言うなら、何十年も放置されたプールやため池みたいな感じです。水死体の1個や2個発見できそうな、どんよりとしたやつ。
気持ち悪いと感じつつも、皆がこっちに行ったのであれば行かなくちゃと思い一歩前へ足を進めました。
そこでやっとあることに気が付きました。
皆がここを通ったのであれば、苔を踏む靴跡がたくさんあるはずだということに。
自分が足を進める一歩先を見ました。
足跡は一つだけありました。
小さい足跡は一つだけありましたが、その足跡途中で途切れているんです。引き返してきた跡もありません。
防衛本能なのか私は即座に引き返し、もう一度振り返って足跡を見ました。
自分が靴で途中まで行った足跡のほかに、確かにもう一つ足跡がありました。
ですが、私の考えは「プールだと思って泳いだ人がいたんだな。馬鹿な奴。」でした…。
途中で途切れている足跡よりも、ほかにも何か違和感があることへ興味が向いていました。
時間が流れ、違和感が何かを考えるのをやめ、そもそもの正規ルートはどこなんだと考えていました。
足跡が一つしかなかったため、確実にせき止めの奥の森は違う。やっぱり私が進んでいたルートは正しかったんだ。
自信を取り戻し、最初に引き返したところまで行きました。
すると、不思議なことに下山している人たちの声が聞こえてきました。
安心した私は、ほぼ走って駐車場に行きました。
駐車場に行きバス、時間にまだ余裕があることを、そこらへんにいた老人クラブから聞き出し、今あった出来事を両親に伝えるべくもう一度山に入り、すれ違う人たちに「もう少しだから頑張って~」と声をかけつつ行った。
あっという間に両親と合流し、さっきのことを話しつつ歩いた。
ふと気が付くと見覚えのある場所にでた。
私が一番最初に引き返したところだ。来るときは気が付けなかったなーと、ちょっと後悔し、お母さんの服の袖を引っ張って「こっちにあったの!来て来て!」と裾を引っ張って行った。
だがそこには獣道がなくなっていた。
「ここに絶対あったの!」
「はいはい。でも、もうないからしょうがないねー。」
「まって、こっちかも…!」
などと必死にお母さんにも見せて、何とも言えないこの体験を共有したいと考えていた。
だが、母は先を急ぐべく前に進んでいた。
「もう一人で探すからいいもん!」とやけをおこし探すと、すんなり獣道が見つかった。
まだそう遠く離れていない母に駆け足で近寄り、「今度こそあったから!来て!」と言って腕を引っ張った。
だが、2回目はそう簡単引っ張れなかった。
そうこうしているうちに飽きて、両親をおいて、足早に下山しバスに乗り込んだ。
バスの中で休憩を取りつつ、さっきのことを思いだしていた。
バスが発進するころには、足跡の違和感もわかっていた。
登山客の中には子供は私のみでした。
…文章まとめるの下手でごめんなさい。
以上、私の体験談でした。
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