
長編
『貸してぇ~』
ぼろぼろ 3日前
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ぬ事が起きる事もなく
日々を過ごす事が出来ました。
話は変わり、つい先日の事です。
私は久し振りにママと お茶をしました。
友人のYは結婚を機に旦那さんの実家へと
引っ越していきましたが、私とママの交流は続いていました。
子育ての最中は年賀状の やり取りだけになりましたが
子育てが一段落してから再び たまに会うようになったのです。
6年前にマスターが亡くなって以来、ママ一人で
お店を切り盛りしてきたのですが、夜の仕事は
体力的にキツイという事で お店をたたむ事に
なったのです。
今後の事は故郷に戻り ゆっくり考えるという事でした。
「桃子ちゃんとは もう会えなくなるかもね…」
しんみりとした空気の中、ママから驚く話を
聞かされました。
それは、会社経営をしていたNさんの話でした。
私の記憶からスッカリ抜け落ちていた名前を聞いて
鳥肌が立ちました。
お店をたたむ事になったママは閉店後、少しずつ
片付けを始めたそうです。
ある日の閉店後の事。
ママが一人で片付けをしているとドアが開き誰かが
入ってきたそうです。
ママは顔を上げて
「すいません。今日は もう閉店です」と言いかけて
腰を抜かしそうになったそうです。
そこに立っていたのはNさんだったそうです。
「貸してぇ~」
それだけ言うとNさんは スゥーと消えたそうです。
えっ?… 消えた?…
「ママ、幻覚でも見たんですか?」
私は心配になってママに訊ねるとママは ハッとした顔になって言いました。
「そっか。桃子ちゃんは知らなかったんだっけ…」
「Nさん、もう亡くなってるの。あれ、何年前だったかな…」
Nさんの名前が出てから何故か 鳥肌が止まらなかったの
ですが、亡くなったと知らされた時は 鳥肌を通り越して
身震いしてしまいました。
Nさんの会社は結局、倒産してしまったそうです。
その後、Nさんの消息を知る人は居なくなり
常連客の間でも話題に あがらなくなった頃、ママは
Nさんが亡くなったという話を常連客の一人から
聞かされたそうです。
交通事故だったそうですが、その場所はNさんとは
縁もゆかりも無い街だったそうです。
Nさんが何故、その街に行ったのか、家族にも
分からなかったそうです。
Nさんの会社と たまたま取引のあった常連客の耳に
情報が入り、
この怖い話はどうでしたか?
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- ママさん強い!物好きの魔女
- 匿名さん、生き霊は厄介だと聞きますが、ママの力が勝っていたのか、私が鈍かったのか(笑)、とりあえず何事も無く現在に至ります。お母たん
- 生き霊マジ怖い。匿名