
長編
黒い人
匿名 5日前
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せんでした。
私がその存在を確認して一息おいてから、その人はゆらりと体を揺らしながらこちらに進んで来ました。
はっと我に返り、今度は恐怖しました。
不自然に感じたのは、大きくて黒いからだけじゃなく、手が異常に長かったんです。
半袖から伸びる腕は関節が無いように見え、その人の体が揺れると、合わせるようにふにゃりと揺れました。
手の甲は地面についていて、ずるずると引きずっていました。
あまりの異常さと恐怖に体が硬直して動けませんでした。
少しずつ少しずつ、しかし確実に近付いてくる異様な存在に、全身が毛羽立ちました。
そしてそれと同時に、いきなり目の前の景色がぶれ、頭に強い衝撃を受けました。
自分の体が前のめりに倒れ、全身の力が抜けていくのがわかりましたが、しかし一体何が起きたのかはわかりませんでした。
「………ぁぁああ!!」
…あれ?悲鳴?誰の?お義父さん?何で?あれ?何でだっけ?何で寝てるんだっけ?何してたんだっけ?
意識が朦朧としてたんだと思います。
思考が働かず、体は全く動きませんでした。
「…て!ゃめてお母さん!痛い!痛いよ!!やめてくれ!!」
お義父さんの声だ!!何だ!?
はっきり意識が戻ったのはどのくらい時間がかかったのかわかりませんが、義父の悲痛な叫び声ではっとしました。
後頭部がズキズキと傷み、目の前がチカチカしてうまく起き上がれませんでしたが、手で頭を押さえなんとか起き上がりました。
「お願いだからやめてくれー!!」
声がする方を振り返ると、信じられない事に、義母がこま打ちをしていた金槌で義父を滅多打ちにしていたのです。
ふらふらでしたが、必死に義母にしがみついて止めました。
ひらすらに、やめて下さい!ともう泣きながら繰り返し叫びましたが、それでも義母は義父を殴る事を止めようとはせず、何か訳の分からない事を喚いていました。
「おんしのたまもざんじくうちゃるきぃ、まっとってなぁ」
義母がいきなり私の方を振り返り、笑顔でそう言いました。
また全身が毛羽立つのを感じました。
義母が恐ろしいのもありましたが、それ以上に恐ろしいものが私のすぐ後ろにあるような気がしたから。
私は後ろを見れませんでした。
頭の痛みを忘れる程、体が硬直しました。
「ほれ、、くう、の、おらうう、、」
耳元で声がしました。
女のような男のような、子供のような老人のような…。
とにかくありとあらゆる複数
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- どこで焼いたの?松崎しげる
- 赤ちゃんを授かる代わりに誰かの命を食べるってこと? 神様ひどい~~~~~~
- こぇ〜変隊にゃ面
- 面白かったです。お菓子
- アメリカの都市伝説スレンダーマンを想起させるお話ですね。振り向くとそこにいる、背後に立たれると発狂するというのが私の知っている大雑把な特徴です。国内にも似たようなお話があるのですねくー