
長編
緑の文化大革命
しもやん 3日前
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読者は人間の工学的なデザインに不満を持ったことはないだろうか。歳を重ねるごとに急上昇するがんの罹患リスク、腰を多めに曲げているだけで罹る椎間板ヘルニア、出産で命を落とす妊婦、自閉症などの脳疾患、街の路地裏に潜むサイコパス。創造論者は神が人間を造りたもうたとのたまうけれども、その割にはあまりにも欠陥が目立ちはしまいか? 神とはでたらめに製図を引く三流デザイナーなのか?
神が存在するかどうかはここでは立ち入らない(わたしは無神論者なので確信を持っていないと断言するが)。人間は神に作られたのではなく、自然に作られたのだという事実を主張したいだけだ。
* * *
進化とは漸進的で、いき当たりばったりのやっつけ仕事である。
最初の生物であるコモノートがどんなしろものだったかは意見がわかれるが、自身をなんらかの方法で複製する能力はあったはずである。そうでなければ自分に似た次世代を連綿と生産していけない。コモノートはDNAかRNAを利用し、自身を複製して数を増やしていた。1980年代に触媒と複製を兼ねるRNA(=リボザイム)が発見されたことにより、一般的にはRNAが先だったのではないかという意見が優勢である(=RNAワールド仮説)。
さて簡便のため、ここではコモノートを海中に発生した単細胞生物であるとしよう。彼の系譜は順調に数を増やしていたが、あるとき大異変が起こる。隕石の飛来による太陽光の遮断により、海の温度が低下したのである。コモノートの子孫たちは環境の激変についていけず、ほとんどが死滅した。だがそのなかでごく少数、遺伝子の突然変異によって低温下に強い個体がいたとしよう。
この個体は仲間たちが凍え死んでいくのを尻目に、ゆうゆうと環境中に拡散できるだろう。また低温に強い遺伝子は現環境で有利なので、自然淘汰によって優遇される。その結果〈低温に適応した単細胞生物〉という別種が誕生したことになる。現環境に適応した個体が生き残り、そうでない個体は死ぬ。それが自然の掟であり、その結果徐々に生物が分岐していくのが進化なのである。
しかし上記のような流れだと、生物はまったくの偶然によって進化してきたことになる。単細胞生物が偶然人間にまで進化するはずがない、そんなのはクズ鉄置き場に台風が襲来した翌日、ボーイング747ができあがっているのと同じだ! という主張は創造論者畑からよくなされる(驚
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