
長編
緑の文化大革命
しもやん 2日前
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ちが残したいと思う生物をひいきしているだけだ。
そんな自分勝手なわがままに費やされる資本を、少しでも発展途上国の支援に振り向ければどれだけの成果を生み出せるだろうか? 外来種のナメクジがパキラにくっついているのを見つけるのに金を使うのと、アフリカの子どもたちに食料を送るのとどちらが有益だろうか? もはや議論するまでもない問題であろう。
1960年代、中国では毛沢東の主導で文化大革命というおぞましい社会実験が行われた。共産主義思想を軸にしたさまざまな愚行が蔓延したが、そのなかに食料を大規模に輸出するというものがあった。問題だったのは国内の農民が飢餓に苦しんでいるのをまったく無視して輸出が実行されたという点である。文化大革命による死者は推定6,000万人にものぼると言われている。
食料の輸出とはまず国内の需要を満たしたのちに実施するものであって、国民が餓死している最中に行うものでは決してない。物事には順序があるのだ。この構図は現代の環境保護にも当てはまるのではないだろうか。有効利用できる資本を人命救済に回さず、それより明らかに重要性の劣る環境に莫大なドルを支出する……。
われわれはもしかしたら、世界的な文化大革命を実行しているのかもしれない。
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