
長編
緑の文化大革命
しもやん 3日前
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フェアではない。
もし自然の負の側面をも肯定するならば、不倫は自然が行っていることなので正しく、レイプですら正当化されてしまう。これは遺伝子決定論を嫌う根拠にもなっているようだ。リベラル派やフェミニストはこう主張する。不倫やレイプが遺伝子で決定されているはずはない、それは人類の文明や男性至上社会が生み出した病弊なのだ、と。
不倫やレイプが遺伝的に刷り込まれているとして、だからなんだというのだ? われわれは即座にそうした行為に恩赦を与えて、明日から強姦を合法にしたり、不貞を離婚事由から外したりするのだろうか? なぜ遺伝子が関与するとその特性は避けられないものだということになるのか? 明らかに自然に対する異常なまでの崇拝が原因である。自然はべつに絶対的な正しさなど持ち合わせていない。不倫やレイプが自然のなせる業だからといって、その衝動にしたがう必要はないし、そうするべきでもない。
生態系とはそのときどきの環境によって、ダイナミックに変動していくものである。過去にも温暖化や寒冷化、大陸移動による地理の断絶、湖のpH値の変化など、おびただしい変動があった。ある生物は生き残り、ある生物は絶滅していった。これは避けられない事象なのであり、そもそも介入すべき事象ですらない。環境保護という概念そのものが的外れなのである。いままで存在した生物の99%は絶滅している。その陰鬱なリストにいまさら1種か2種が加わったとして、なんだというのだろう。
* * *
そしていま、われわれは環境保護の名のもとに空前絶後の金を投入している。港では検疫のために植物を輸入する際、毎回必ず検査が行われる。数ミリにも満たないナメクジがくっついているだけで不合格となり、燻蒸を強制される。樹木を保護するため、いっさい開発を行えない国有林が(ただでさえ狭い日本で)広大な面積を占めている。温暖化に対処するため、ヨーロッパではヒステリー寸前の規制が敷かれつつある。
わたしは環境破壊を促進し、人類のやりたいようにやれと言っているわけではない。費用と便益を考えろと主張したいだけなのだ。率直に言って守る価値のないようなものに、人類は多大な出費を割いている。それも差別意識丸出しでだ。絶滅寸前のゴリラは人類に近いので保護するけれども、日々絶滅しているであろう名もなき昆虫や細菌は歯牙にもかけない。これは環境保護ではない。単に自分た
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