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飲み会
中編

飲み会

匿名 2016年8月26日
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友達と呑みに行ったときのお話。 § その日は、バイト上がりに アスカと呑みに行く約束をしていた。 俺はバイトが少し長引いてしまい アスカを待たせる事になってしまっていた。 駅に着いて辺りを見渡すと 壁際にアスカらしき人が居る。 しかし、俯いていてこちらに気が付かない。 俺「アスカ!」 ア『…』 俺「おーい!アスカ!」 アスカは俯いている。 どうやらこちらに気付いていないようだ。 俺は近づいていって肩を叩く 俺「おい!何してんの?」 ア『!!あぁ…遅いよ…お疲れ様(笑)』 顔色の悪いアスカが力なく笑った。 § 俺「どうした?何かあった?」 ア『…呑み屋で話すよ』 とりあえずアスカと俺は 行き付けの居酒屋へと向かった。 ある夏の日の金曜日の19時。 私は友達と呑みに行く約束をして 待ち合わせ駅の壁際で待っていた。 § もうそろ着くかな~?なんて思いながら スマホに目を通した時 俺「ごめん!バイト終わらない!少し遅れそう」 ア『まじか~…仕方ないか…』 暇潰しにふと、駅の構内を見渡す。 疲れた顔のサラリーマン、これからお仕事らしきお姉さん、テンションがやけに高い学生、買い物帰りの主婦…様々な人が行き交う。 私は人間観察が好きだった。 けど、視える人だった私は たまに人ではない“ナニカ”を 見つけてしまうこともある。 その“ナニカ”は気付いてることに 気が付くと憑いてきてしまうから 見つけたら気付いてないフリをする。 それが私の対処法になっていた。 ふと、駅直通のデパ地下の方を見ると 青いワンピースで痩せ細っている女性 黒いストレートの長い髪。いかにもだ。 後ろ姿だったのでしばらく観察していると 目の前から急ぎ足のサラリーマン ア『(あ~…ぶつかる…)』 案の定、サラリーマンは女性をすり抜けた。 ア『さっきの人憑かれてないかな・・・』 通り過ぎていったサラリーマンを探す。 待ち合わせなのだろう。改札付近に姿があった。 ア『憑いてないか。良かった』 振り返りもう一度女性を確認しようとした ア『(あれ?まだいる。)』 なかなか消えない女性をしばらく観察していた。 青いワンピースの女性が前方から現れた男性と 腕を組んでこちら側に歩いてきた。 ア『あれ・・・生きている人間だった・・・?』 そうか。やってしまった。 私はとんでもない勘違いをしていた。 見てはいけなかった。 ≪さっきのサラリーマンを≫ 改札付近を見渡す。彼は居ない。 チラリと横目で隣で壁にもたれ掛っている人を見る。 この季節には合わない紺色のロングコート 間違いない。こっちが”ナニカ“だったのだ。 気付かないフリをするのにスマホをいじる 横から声がする ≪寒い…あぁ寒い…寒いよ…≫ 緊張と恐怖で身体が震えそうになる。 ≪寒い…何でこんなに寒いんだ…寒い≫ 聞こえる声はだんだん大きく荒くなる。 声をかき消すためにイヤホンで音楽を聴く ≪~♪……寒い…寒いよ…≫ 音楽に声が混ざりだす。 額に汗が滲む。声をあげそうになる。 ア『(早く!!早く来て…!!)』 目をぎゅっと瞑り俯いていた。 すぅーと隣から気配が無くなった。 イヤホンを外したその時 ≪本当は聴こえているんだろう?≫ ≪寒いですよね?・・・ねぇ!!!!≫ 怖くて怖くて気がおかしくなりそうだった うっすら目を開けて見ると 目の前で俯く私を覗き込んでいるのが分かる ア『もうダメかもしれない…』 不意に肩を叩かれる。 俺「おい!何してんの?」 そんなときに俺が来た。 顔をあげるともう彼は居なかったらしい。 § ア『って事があったのよ…』 そう話すアスカはずっと 寒い・・・寒い・・・と言いながら熱燗を呑んでいた。

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