
僕が小学生だった頃、冬の寒い夜のこと。祖父母の家に遊びに行った時のことを思い出す。僕は兄妹の中では長男で、妹と弟がいる。家族は祖父母と一緒に暮らしていたが、曾祖父は数年前に亡くなっていた。
その家は古い農家で、周囲には物置や蔵があった。祖先は昔、農業を営んでいたらしく、物置は昭和初期に建てられたもので、時折、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。子供心に、その物置には何か面白いものが残っているのではないかという好奇心があり、時には祖父母が物置に行くときについていった。
物置の扉は重く、力を入れて開けないといけなかった。その中は土間になっていて、埃っぽく、カビの匂いが漂っていた。昼間でも薄暗く、懐中電灯がなければ何も見えないほどだった。物置は二階建てで、急な階段があり、昇ると二階には小さな部屋があった。
ある日、家族が出かけて、僕と曾祖母だけが家に残った。僕は思い切って「物置の二階に行こう」と頼み込んだ。曾祖母は渋々承諾してくれた。物置の扉を開け、二階へ上がると、部屋の中には古い木製のお面がかけられた壁と薄暗い畳の部屋が広がっていた。
その時、僕はお面の背後に何かが隠れているような気がした。二階の部屋は薄暗く、窓のカーテンを開けると、外の光が差し込んできた。しかし、曾祖母の姿は見えず、「こわいから下で待っているよ」との声が聞こえた。子供の頃の僕は、その言葉の意味を知らず、ただ不安を感じた。
部屋の片隅には小さなちゃぶ台があり、その上に布がかかった箱が置いてあった。興味をそそられ、布を取ると、そこには無表情の木製のお面が置かれていた。ちょっとがっかりしたが、部屋を探検し続けた。押し入れや箪笥を開けても、特に何も見つからなかった。
そのうち、外の光に安心感を覚え、古い敷き布団に横になって眠ってしまった。目が覚めると、部屋は薄暗くなり、一人になっていることに気付いた。不安が広がり、立ち上がろうとした瞬間、部屋の隅から「カタカタ」と音が聞こえた。恐る恐る振り向くと、無表情のお面がこちらを見て微笑んでいた。恐怖が頂点に達し、僕は急いで階段を降りようとした。
「おばあちゃん!」と叫ぶが、返事はなかった。薄暗い中で急に恐怖が襲い、階段の下に辿り着くと、物置の扉が閉まっていることに気付く。音が響く中、僕は扉を叩きながら泣き叫んでいた。
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