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長編

廃墟にいた少女

匿名 2019年8月4日
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このお話は生きている人間のお話なので、全く怖く無いです。 それっぽいタイトル付けてごめんなさい。 状況的に、一瞬だけ怖い場面が有ったので、烏滸がましくもここのサイトで書かせて頂きました。 幽霊とかそう言うのでは無いので、そちらの方を期待なされた皆様には、ご足労おかけして、大変申し訳有りません m(_ _)m では参ります。 平成20年代前半の時のお話です。 岩手の八幡平市をドライブしていたら、松尾◯◯の近くに差し掛かり、有名な廃墟がある事を思い出しました。 その廃墟は、色々と幽霊の噂の有る廃墟では有りましたが、日中にサバゲーをしている人達が居るとか、県内外から廃墟マニアが大勢訪れているとか、観光地としてもそこそこの人気スポットと言う事もあり、明るい話題も多かったので、幽霊話のことなど気にも止めずに近寄りました。 時期としては8月初旬で、時刻は午後7時ぐらいだったと思います。 辺りはだんだん夜の闇に包まれ、遠くに廃墟が薄っすらと見えるぐらいでした。 蒲鉾型の屋根をした建物(恐らく昔の体育館でしょうか)を道路側から見ていた時です。何かが擦れる様な音が視界外から聞こえてきたので、そちらに目を向けると、そこには白い服を着た少女が立っていました。 ゴスロリとでも言うのでしょうか? 中世ヨーロッパの貴婦人のような出で立ちで、ドレスには華やかな装飾が施されていました、足元を見ると何故か裸足でした。 その表情は疲れきった顔をしており、頰には涙が伝っていました。 私が気づいた時点で、接近距離は5mも無かったかと思います。 『出た!』 普通の人はそう思うでしょう。 私もそう思いました。 ですが、ですがなんです。 その少女、とてつもない美人さんだったんです。日向坂46の小坂さんとか、本田翼さんみたいな、ああいう切れ長の目に整った感じの顔でした。 (小坂ファンと、ばっさーファンの皆様ごめんなさい) 恐怖感が先行していたら、一目散に逃げていたのでしょうが、生涯で一度会えるか会えないかと思う程の美人さんを前に、私は逃げる事を忘れ、すっかりフリーズしてました。 その少女が私の元まで近づいてくると、こう言いました。 「車に乗せてもらえませんか?帰れなくなったんです」 ん? 幽霊じゃない?? 彼女は紛れもなく生きている人間でした。 事情を聞いてみると。 その少女はその日の朝、友達2人と盛岡市(岩手県内では最大規模の街)からバスで八幡平市までやって来て、この廃墟で撮影をしていたそうで、ゴスロリの格好はその為の衣装だと。 1人で自撮りをしているうちに一緒に来た友達とはぐれたらしく、夕方になっても懸命に探していたんだそうですが友達は見つからず、そうこうしているうちに辺りは暗くなり、懐中電灯などの照明機材を持ち合わせてもいなかったので、暗くなる最中、友達の捜索を諦めかけ、途方に暮れていたら車のライトが見えたので、猛ダッシュで助けを求めに来たとの事でした。 裸足だった理由は、ゴスロリ風の靴は猛ダッシュするのに不向きだったので、途中に脱ぎ捨てたらしく、兎に角必死だったので、後の事なんて考えて無かったそうです。 その少女をそれ以上歩かせると怪我をするかも知れなかったので、その少女を歩かせない様にして車まで運びました。(遭遇地点から車までの移動方法はご想像にお任せ致します) その後、少女が靴を脱ぎ捨てた大体の地点と靴の特徴を聞いて、靴を捜索する事に。 (本当は2人で探しに行けば良かったんでしょうけど、如何せん裸足なので) 幽霊話もある夜の廃墟だったので、1人で歩くのは怖かったです。 10分程でその少女が履いてたオシャレなサンダルを探し当てる事が出来たので、車に戻ってみると、その少女は一緒懸命に携帯をいじっていました。 この時点で問題はまだ2つ残ってまして。 この少女、実は高校生でして(まぁ、未成年だろうなとは思ってましたが)親に連絡を入れたいのに、携帯がキャリア圏外で繋がらないとの事だったのですが、連絡をとるには、キャリア圏内に移動しなくてならならず、、、 友達2人の捜索が・・・ 2人を置いて移動する事の罪悪感と、早く連絡を入れないと親に叱られるという恐怖感との葛藤で、少女は半泣きでした。 取り敢えず『親御さんが心配してるだろうから』と言う事で、一旦その場から離れて麓のキャリア圏内へ移動し、自宅に電話を入れると、お母様が大変心配なさってました。 私に電話を代わってもらって、事情を話し、友達を探してて遅くなったので、決して怒らないで下さいと伝えると、お母様は納得してくれましたが、お父様は「あとの2人は警察にでも任せて、兎に角うちの娘を連れて来てくれ」と、物凄い剣幕でした。(まぁ、そうでしょうね) 私が「取り敢えず、親御さんへの連絡を優先させましたので、ご友人の方にはこれから連絡します」と伝えると、第1優先が自分達だった事に気を良くしたのか、徐々に協力的になり、色々と情報を下さいました。 まず、娘と一緒に出かけた友達は、誰なのか分からないので、親御さんの方も対応出来ないとし、娘と同じ様に遭難しているのなら、そちらの親御さんも心配なさっているのでは?との事。 更には「あんたは悪そうな人では無いので、何時になってもいいので、無事に娘を送り届けてくれ」とお願いされました。 (盛岡市から八幡平市までは、高速道路をぶっ飛ばしても2時間弱かかります) 親御さんとの会話も終了したので、次は友人に電話をしてみる事に。 友人が未だ廃墟に居るとなると、キャリア圏外に居るので、本来なら繋がらない筈ですが、一か八か電話してみました。 すると、なんと電話が繋がりました。 しかも、友人達が居たその場所は、、、 地元の警察署でした。 そう、まさにこれから、この少女を探す為の大捜索隊が出動しようとしていた最中でした。 どうやら、彼女たちは逸れた時の待ち合わせ場所を特に決めていなかったらしく、友達2人はバス停で待っていれば、この少女もそのうち来るだろうと思い、廃墟を早々に立ち去りバス停で待っていたんだとか。 ところが、待っても待っても少女が現れる事は無く、とうとう最終のバス(16:00代)がやって来たので、助けを求める為にも一旦はそのバスに乗る事に。 街に着くなり、直ぐさま警察署に駆け込み助けを求めたらしく、それを聞いた警察官が遭難として扱い、大捜索隊が編成され、夏休み中だった学校から何から巻き込んで大ごとになっていたんだとか。(友達2人は、少女の携帯番号しか知らなかったので、警察が親御さんへ連絡する際に学校から情報を得たそうです) そうとも知らないこの少女は、帰りのバスの事も考えずに、携帯も繋がらない場所で、一生懸命に友達を探してたんだなぁ〜なんて考えると、なんだか愛おしくなりました。 私は、たかだか10分程、少女の靴を探しただけで、幽霊廃墟にビビってました。(大人のくせに情けないです) その後、少女と一緒に警察署に向かうと、恐らく捜索に向かおうとしていたであろうワンボックスカーと、護送車の様な大きな車が警察署の前に止まってました。 少女と友人達は数時間ぶりの対面を果たすと、各々号泣してました。(たった数時間会ってないだけですが、状況が状況だったので、感極まったんでしょうね) 警察の方は、私が電話して数十分後に親御さんへ連絡がついたらしく(それまで色んな所に電話かけまくって、やっと親御さんの連絡先に辿り着いたそうです) 親御さんに電話するなり、 「えっ、うちの娘は、◯◯さん(←私です)と言う方と一緒ですよ〜」と言われて、拍子抜けしていたそうで、 「その◯◯ってヤツの連絡先教えて下さい」 「あっ、聞いてませんでした」 の様なやりとりが有ったらしく、その少女に警察が電話しようとした、正にその時に少女の方から友人に電話があったそうです。 私も軽く事情聴取され、親御さんと話がついているのなら、少女の送り届けるのを頼むと言われ、何だかんだで警察署を出たのは夜の9時を回ってました。 友達2人は親御さんの迎えが来るとの事だったので、友達とはそこで分かれて、私は少女と2人で帰る事に。 少女の親御さんに 「お腹を空かしてるので、途中で何か食べて帰っても良いですか?」と訪ね、途中のお食事処で食事を済ませてからは、少女は疲れたのか、盛岡に着くまで寝てました。 予め親御さんと決めた待ち合わせ場所(旧アイスアリーナ)に着くと、ご両親が車で迎えに来てまして、お父様は少々おかんむりでしたが、 私が 「友達を想ってやった行動ですので、決して怒らないで下さい」と再度根を押すと、お父様は複雑な顔をしてました。 そこから、何故かお互いの高校生だった時の話になり、結局『高校生最後の夏休みだから、大目に見てやるか』という事になり、何故か和やかな雰囲気に。 お父様が、寝ている少女を起こし、少女は起きるなり父親に怒られると思ったのか身構えてましたが、父親が思いもよらず優しかったので、それを訝しげそうに見てました。 別れ際、娘を無事に送り届けてくれた報酬として、お母様から飴玉一個を貰い、各々帰路に着きました。 後になって思ったのですが。 私はこの時、とんでもない過ちを犯してました。 もう気づいてる方もおられると思いますが、そうです、この少女の連絡先を聞いてなかったんです。 名前も、住所も、学校も、この少女に繋がる情報を何一つ聞いてませんでした。 唯一、親御さんの車がマツダのMPVだったって事ぐらいで、この少女と再会する術は有りませんでした。 こうして、私のひと時の片思いは片思いの内に幕を閉じ、一生に一度会えるか会えないかと見まごうまでの美人さんとの出会いは、遠く思い出の砂塵へと埋もれていったのでした。 その後、同じ色のマツダのMPVを見る度に、中に乗ってる人を凝視していたのは言うまでもありません。笑 最後まで、読んで下って有難う御座います。

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