
夕日が沈む駿河湾の砂浜で海を見つめるカップル。
「桜子。俺と結婚してくれないか。」
「勿論!私もそうしたいと思ってた!!」
桜子は満面の笑みで博正の手を握った。
中学校の音楽の教師である桜子は、高校生のときから博正とずっと付き合っていた。
その日は3月最後の日曜日で、もうすぐ新年度が始まり、6月生まれの桜子はあと2か月で30才になる。
そんないつもと変わらない日曜日のデートだった。
そして博正からのプロポーズ。
このあと、2人はずっと手を握って砂浜を歩いていた。
・・・
4月の始業式。
桜子の勤務する静岡市の中学校で。
はじめに学年毎に集まり旧担任から新クラスの発表があり、そのあと新2年、新3年の生徒たちは体育館に新しいクラスで並ぶ。
校長先生の話、新しく赴任した先生の紹介が終わるといよいよ担任発表だ。
2年1組から順に発表され、中学生でもこの瞬間は緊張が高まる。
そして3年生の担任発表に入り、
「3年3組 山倉 桜子 先生」
その瞬間、女子を中心に笑顔になったり、男子も小さくガッツポーズをしたりしていた。
始業式が終わり、新しい教室に向かう生徒たち。
廊下では生徒たちの本音が溢れていた。
3組になった女子たちは嬉しそうに
「やったね!山倉先生だ!」
「私も!桜子先生大好き!可愛いし、一緒にいて楽しいし!」
「絶対いいクラスになるよね!」
一方で一部の男子からは
「聞いたか?山倉だってよ。終わったな。」
「あいつに進路指導されたくねーよな!」
1年のときから持ち上がりでこの学年を持ってきた桜子だったが、生徒の中からは男女問わず賛否両論があり、音楽の授業や合唱コンクールの練習、吹奏楽部などでは厳しく叱ることから男子を中心に一部の生徒からは嫌われていた。
一方で、桜子の綺麗で可愛らしい容姿からファンの男子も少なからずいた。
そして3年3組の教室に桜子が入って来ると、生徒はみな席に着く。
吹奏楽部を統率する桜子は学習規律にはかなり厳しく、陰で何か言う生徒たちも桜子には一目置いていた。
桜子は白いブラウスに紺のロングスカート、セミロングの真っ直ぐなダークブラウンの髪、そして若い頃とそれ程変わらない可愛らしい顔など、一目見て魅力的な女性だった。
「これから卒業までみなさんと関わっていく山倉です。私のことは1年生のときから知ってると思うけど・・」
軽く自己紹介をしたあと、3年生になって学校を引っ張っていくこと、修学旅行、高校入試など1年間を見通す話をしていた。
後日談:
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