
これは祖母から聞いた戦時中のお話です。
村にヨネコさん(仮名)という当時二十歳くらいの女性がいたそうです。
大地主の娘さんで頭の良い女性だったみたいですが、兎に角性格が悪く、性格の悪さが顔にも現れていて、いつも怒っているような顔つきだったみたいです。
子どもだった祖母が通りで挨拶をしても、無視されるか舌打ちするような人で、近所の子どもでヨネコさんを好きな子どもはいなかったそうです。
そんなヨネコさんには幼なじみのタマミさん(仮名)という女性がいて、その人はヨネコさんとは逆に、いつもニコニコしていて、子どもにも優しく挨拶をしてくれる美人さんで、祖母も大好きだったと話していました。
そんなタマミさんにはとても格好いい恋人がいて、近いうちに結婚するのだと噂されていたそうです。
ただ、その人は生まれつき身体が弱くて、その影響で結婚を先送りにしているとも言われていたようです。
だけど良いこともあって、身体が弱いことで、兵隊さんとして戦地には行かないことになっていたのです。
だけどしばらくして、不思議なことが起きたそうです。
祖母が小学校から帰っている時に、その男性が軍服姿で駅に向かって歩いているのを見かけたのです。
身体が弱く、戦地には行けないはずなのに、何故行けることになったのか、祖母は不思議だったそうです。
そして終戦になる少し前、その男性が南方の島で戦死して、それを悲しんだタマミさんがあとを追って自害したのでした。
「私も悲しんだし、近所の子どもはみんな泣いていたわ」
そんなふうに祖母は話していました。
そしてそんな悲劇には後味の悪い後日談があったのです。
身体の弱い男性が突然戦地に呼ばれたのは、ヨネコさんの仕業だったというのです。
ずっとその男性に片思いをしていたヨネコさんは、近いうちに幼なじみのタマミさんが結婚すると聞いて、地元の有力者だった父に頼んで、無理やり男性を戦地に送ったというのです。
「昔は今と違って、地主の発言が一番だったから、お医者さんも言われるまま、合格の手紙を書いたんだろうね」
祖母の話しがどこまで本当かわかりません。
でも実際に男性は戦地に行き戦死してしまい、恋人の女性もあとを追って亡くなったのです。
地元では有名な話で、祖母以外の老人からも、やはり似たような話を聞きました。
自分がふられて悔しいから、無理やり戦地に送って殺してしまう悪行。
まさにヨネコさんは“禍禍女”だと思いました。
そしてそんな悪女には、やはり天罰があったのでした。
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