
ピアノの発表会は大成功に終わり、さくらは近所の俺の実家、Mちゃんは家でMちゃんのパパに預けて、俺たちは車でディナーに向かった。
ディナーでは、洋食のフルコースをMママにご馳走した。
何も知らないMママは優雅にディナーを楽しんでいた。
俺は運転することもあってアルコールは頼まなかった。
酒も楽しんでいるMママだったが、ここの店はコース料理以外は全て別料金だ。
はじめにそのことはMママに話してあるので騙している訳ではない。
それでも、Mママは高い酒を何杯も注文していた。
そして会計は俺がクレジット一括で払い、レストランを後にする。
Mママは
「ご馳走様」
の一言すら言わなかった。
そして、Mママを車の後部座席に乗せて走らせる俺。
だが車はMママの家ではなく町から離れていく。
「どこに行くのよ?」
流石に気づいて慌てるMママだったが、俺は黙って車を走らせていた。
そして郊外に行き、海沿いにある俺の会社の工場の敷地に入り、工場の中にMママを連れ込んだ。
「ねぇ、私をどうするつもりなの?」
静まりかえった薄暗い裸電球の照明と固いコンクリートの工場の中で立ち話をする俺たち。
「帰してやってもいいけど、その代わり今日あんたが飲んだ酒の代金は払って貰おうかな?」
「それは奢ってくれたんじゃないの?」
「奢ると言ったのはディナーだけだ。飲み物は別料金だと念を押しただろう?それ以前に、奢りだとしたらあんな高い酒何杯も頼むのか?あんたの卑しさがよく分かったよ。それに領収書はウチと別にしてもらったんだ。この代金あんたが払えないなら旦那さんに言って払ってもらうけどどうする?」
「やめて!こんなこと旦那に知られたら・・」
「じゃあ、どうしようもないね。」
そのあと妻がMママに近づくと、
「洋服やカバンを縫ってくれって言ってたよね。その前にあなたのその余分な口から縫ってあげようかなぁ。裁縫セットも持ってきてるし。」
勿論そんなことはしないが、俺はMママを睨んで追いつめる。
「どうする?酒の代金45000円をあんたが払うか・・それとも・・」
Mママは何をされるかブルブル震えていた。
「安心しろ。無防備な女をいたぶるほど俺たちは冷酷な夫婦ではない。ただあんたに会わせたい相手がいてな。」
「誰なの?」
俺は答えなかった。
相手はまだ来ていないので、しばらくMママを待たせることになる。
こういうのもMママの不安を煽るのにいい時間だった。
後日談:
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