
私には、どうしても忘れられない先輩がいます。
高校一年生の冬、私は美術部に入部しました。そこで出会ったのが仮にA先輩と呼ぶ彼女です。
彼女は自分の作品に誇りを持ち、いつも前向きな言葉をかけてくれました。「信じることで、素晴らしい作品が生まれる」と彼女は言いました。その言葉に私は何度も励まされ、次第に彼女に憧れるようになりました。
しかし、A先輩には苦手な先輩たちがいました。B先輩という名前の彼女は、地元の名家の出身で、美術部の中心的存在でした。A先輩がB先輩の作品を褒められたことがきっかけで、B先輩が嫉妬し始めました。その結果、A先輩は無視されるようになり、道具を隠されるなどの陰湿ないじめが始まったのです。
私は何とかA先輩を助けたくて、顧問の先生に相談しましたが、「ただの子供の喧嘩だろう」と取り合ってもらえませんでした。私は無力さを感じていました。A先輩は私を責めることなく、いつも私のことを気遣ってくれました。
いじめが始まって数か月が経った頃、A先輩は学校を休むことが多くなりました。その日、美術室にB先輩は現れず、代わりに顧問の先生から告げられたのは、私の心を冷やす知らせでした。
「B先輩が事故に遭い、入院している」
こう言った先生の言葉に、私は動揺を隠せませんでした。みんなで彼女のためにメッセージを書こうということになり、私は心の中で反発を感じながらも、上辺だけの言葉を書きました。
しかし、A先輩が書いたメッセージを見た瞬間、全身に寒気が走りました。A先輩の筆跡はまるで薄い墨で書かれたようにかすれていて、そこには「信じれば、素晴らしい作品が生まれる」という言葉がありました。
その後、A先輩は転校することになりました。B先輩はそのまま学校を辞めたと聞きました。その後、どうなったのかは今でもわかりません。ただ、A先輩の書いたメッセージのことが、私の心にひっそりと残っています。あの古い油絵用の筆が、まるで彼女の願いを運んでいたかのように思えてなりません。
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