
長編
魔法の言葉
匿名 2日前
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危険だ。
そんな彼氏やめた方がいい!逃げないと綾乃が死んじゃう!
そう訴えたが綾乃には一ミリも届くことはなかった
「これからデートだから、痩せてほめてもらうの!」
そう笑って言う綾乃
私の中の警報が鳴った
「本当にそいつやばいよ!何かあってからじゃ遅いよ!ね?やめよう!?」
必死にお願いするが綾乃は困った顔をした後、苦笑して言った
「大丈夫!なんかあったら逃げるから!それに、Never say never.。私達諦めないで成功を掴むんでしょ?大丈夫だよ!じゃあ!これから彼が迎えに来るから!」
綾乃を見たのはそれが最後だった
仕事に来なくなり連絡も取れなくなって消息を絶った
夜の仕事の伝手を辿って都内まで探したが見つからなかった
警察も動いてはくれず自力で探すしかなかった。当時の私は探偵を雇うほどの財力もなかったから。
皆は口を揃えてきっと大丈夫!と笑って言っていた。
身近な人がどうにかなる。なんて思いもしなかったんだと思う
ある晩、私が仕事から帰っていると携帯が鳴った
名前を見ると綾乃 と表記されている
「っ!!綾乃!?あんたどこにいるの!?」
私は勢いよく電話に出たが相手側からは何も聞こえない
少しの沈黙が続いた
「ねぇ、綾乃!?綾乃なんだよね!?」
「‥‥み・・・・さ…」
今にも消えてしまいそうな声で私の名前が呼ばれた
耳を澄ませていないと聞こえないくらいの小さな声だ
「…ぁあ゛…あぁ ぁ。 み さ」
「…綾乃???」
「あああああああああああああああああああああああ ガチャン ツー ツー
電話が切れた
それと同時に涙が零れた
ものすごく苦しそうな声だった
きっと綾乃は辛くて苦しい思いをしている
なのに私は何もすることが出来ない
再度警察に相談してみるも綾乃が成人を迎えていること。恋人に会いに行くと言って消息を絶ったこと。
事件性がないとみられ取り合ってもらえなかった
どうすればわからない
無力でごめん。
綾乃の携帯に再びかけるが無機質な声で電波の届かない~が流れるだけだった
そして翌日、綾乃の両親から遺体で発見されたとの知らせが入った
薬を過剰摂取して亡くなったらしい
目の前には眠ったような姿で横たわる彼女
最後見た時よりさらに痩せている
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- 普通に感動する話だった夢の魔女