短編
特急列車に乗る若い女性と息子

人気のカッコいい特急列車の指定席が窓際で取れた。
ゆっくり景色を眺めるぞと思って列車に乗り込むと、俺の座る2人がけの席には、赤ん坊を抱いた若いママさんがいた。
女性は俺を見て
「すみませんっ」
と窓際の席に乗せていた男の子の赤ん坊を膝の上に乗せた。
俺は『よかったら窓際譲りますよ。』と言ったが女性は『いいです。』と断った。
小さい子がいるのに大した人だなと女性に感心していた。
まだ20代前半くらいの可愛らしい顔の女性だった。
俺は列車の素晴らしい景色を眺めていたが、しばらくすると赤ん坊が泣き始めた。
女性は体を揺らして子供をあやしていた。
丁度その頃、列車がトンネルに入り親子の様子が鏡のように反射して窓に映っていた。
すると、反射した窓越しに赤ん坊の男の子が俺を見て笑った。
それは赤ん坊とは思えない嘲笑するような悪意のある笑顔だった。
この赤ん坊はもしかして、この女性に取って因縁のある男の生まれ変わりなんだろうか・・。
それにこの女性、子を持つには若すぎる気が・・。
そのあと列車はトンネルから出たが、俺はこの親子がさっきまでの微笑ましい光景に見えなくなっていた。
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