
中編
夜のバーガー屋であ不思議な話
や 2020年3月16日
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その頃深夜のコンビニにバイトをしていたんだ。
いつもなら丁度いい時間に家を出てバイトに向かうのだがなぜか今日は、少し早く出てしまた。
腹も空いていたからコンビニの近くにハンバーガーチェーン店があるのを思い出しそこで時間潰しがてら食事してから行こうと思った。
バイト先のコンビニは、駅から少し行った国道沿いにあるから夜中でもトラックの運ちゃんがきたりするし、道沿いにファーストフード店があったりするから夜中でも明るい。
バーガー屋もバイト先から2ブロックくらいのとこにあって、いつも不自然に明るいのにその裏の道は、正反対で真っ暗だったんだ。
道路側の道は、明るいのに反対側は、倉庫だったりよくわかんない建物だったりと紙一重な場所だった。
近すぎて初めてそのバーガー屋に行ったことがなかったが、店内は広い。
広いのに客が1人しかおらず、冬だというのに暖房が効いていなかった。
経費削減でつけてないのかな。
店員さんも半袖なのに大変だな。
と思いながらハンバーガーセットを注文した。
ハンバーガーセットを乗せたトレイを持って空きまくってる席を見回す。
1人しかいない客は、一番奥の隅の2人席に座ってた。
俺は、空いてるけどコンセントが使いたかったからカウンターみたいに道路に面したコンセント付きの1人席に座った。
道路側の大きな窓が俺を映してる。
その視界の端っこにもう1人の客も少し映ってた。
あらかた食い終わって充電しながらスマホをいじってるとなんか違和感を感じた。
なんか首元に風が当たる。
暖房入れたのかなと思った。
だってさっきからすごく寒いから。
顔を上げたら自然と視界にもう1人の客が入ってくる。
その瞬間ギョッとした。
だって完全に目があった。
長い髪で女だとわかるが全身真っ黒で着膨れしてる。
虚な目がこっちを見てる。
スマホに目を戻すけど、視線を感じてしまい気味が悪い。
失礼かも知れないがこの人浮浪者なのかも。
だって物凄いぼろぼろの服だし汚い。
人が動く気配がしてその瞬間に人の皮脂の匂いというか、なんか気持ちの悪い匂いがして思わず口元を覆ってしまった。
そこそこ距離があるのに臭うなんて相当だな。
きっとこの人のせいで客がいないんだ。
早く消えてくれないかなって思って
顔を上げたら俺の後ろに立ってた。
ニタァってすっごい気味悪い笑顔で目が虚で。
背筋が凍った。
相手を刺激しないようにゆっくり荷物を持った。
相手も動かずにただニタァっとずっと笑って俺を見下ろしてた。
気持ち悪い笑顔と匂いで吐きそうになってきた。
相手は、女だしいざとなったら殴って
とか最低なこと考えてたら
さっきまでニタァっと笑ってた口がどんどん大きくなっていった。
俺は、情けない悲鳴を上げて立ち上がってレジの方まではった。
レジには、店員がいる。
他に人がいる安心感でレジに行った。
レジにいた店員は、冷静だった。
店員の冷静というより本当冷たい冷ややかな顔だった。
嘘だろ。
こいつももしかして?!
店員がゆっくり近づいてきた。
俺は、足がガクガクで動けない。
口が裂けてもはや顔半分が口みたいな気持ち悪い化け物と冷ややかな顔の店員にが俺に近づいてくる
逃げなきゃ!!!
ヒタヒタいう足音を聞きながら足をガクガクさせている俺は、さぞかしみっともないだろう。
動きたくとも動かないのだ。
店員が目の前にきた。
あー殺されると思って目を閉じた
シューーという音が聞こえて爽やかなミントの匂いがして俺はゆっくり目を開けた。
店員が更にシューっと消臭スプレーを空に向かってふっていたのだ。
あの化け物は、消えていた。
「大丈夫ですか?お客様」
店員の無機質な声が響いた。
店員が立たせてくれたが泣いてるし鼻水でぐちゃぐちゃだしかっこ悪い。
なにもなかったようにまた店員はレジに戻った。
俺は、顔を拭いながら立ち上がってそのままバイト先に行った。
ずっと表情を変えないその店員が何より怖かった。
そのバーガー屋には、それから二度と行っていないし、その後何度も前を通ってるがその店員を二度と見ることはなかった。
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