
数年前、私が友人と一緒にカフェを開業したときのことを思い出します。
私たちのカフェは、静かな住宅街の一軒家の隣にある古びたカフェでした。カフェの雰囲気は温かみがあり、訪れる人々に安らぎを提供していました。そんなある日、70代の男性がカフェに訪れました。彼は近所に住んでいると言い、いつも笑顔を絶やさず、私たちのカフェをとても気に入ってくれました。
彼は毎日のように来てくれて、私たちともすぐに打ち解けました。しかし、数ヶ月経つと、彼の様子が変わり始めました。カフェに来る頻度が減り、たまに顔を見せると、どこか疲れた表情を浮かべていました。友人と私も心配になり、何かあったのか尋ねることもありましたが、彼はいつも「大丈夫、大丈夫」と笑って誤魔化していました。
ある秋の夕暮れ、私がカフェの閉店準備をしていると、不意に古びたオルゴールが鳴り響きました。その音色はどこか懐かしく、どこか不気味でした。カフェの奥から聞こえてくるその音に引き寄せられるように、私は奥の部屋に足を運びました。すると、そこで彼の姿を見かけました。彼は壁にもたれ、目を閉じていました。
その瞬間、私は不安に襲われました。彼の手が何かを掴んでいるようでしたが、近づいて見ることができませんでした。恐怖で足がすくんでしまい、その場から逃げ出しました。数日後、カフェの前に警察が集まっているのを見かけ、胸騒ぎがしました。
警察が言うには、近隣の住人から異臭がすると通報があり、彼が亡くなっていたそうです。彼はカフェに向かう途中で、古びたオルゴールを持ったまま、家の中で亡くなっていたとのことでした。彼の手は、まるでオルゴールを私に渡そうとしているかのように、外に向かって伸びていたと聞きました。
その時、私はあの夕暮れの音色が彼の助けを求める声だったのだと気づきました。彼は私に何かを伝えたかったのだと、今でも思います。彼の存在が私の心に深く残り、いつまでも忘れることはできません。
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