
長編
『111』
(゜Д゜) 3日前
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どうしても4時44分時間通りに電話を掛けたかったRは、公衆電話に並ぶ必要があるなら延期!と言っていたのですが、その日は珍しく誰も居ませんでした。
Rは「そろそろかな」なんて言いながら躊躇なく受話器を持ち上げるとゆっくり『111』とプッシュし、少し受話器を耳元近くへかざしてから切りました。
程無くして電話のコールが鳴りました。
かかってくると分っていても心臓が跳ね上がります。
3コールか4コール目でRはそっと受話器を取り耳に当てました。
「もしもし?」
誰もいないはずの相手に向かってRは話しかけていましたが、案の定「やっぱり何も聞こえないや」と私に受話器を渡そうとしてきました。
その時…
「え?」
と言って、耳から放しかけた受話器を再びギュッと押し付けたのです。
「どうしたの?」
声を掛けるとRは「しーっ」と口元に指を立てジッと耳を傾けていましたが、しばらくすると小さく「ぃやっ!」と言いながら受話器から手を放してしまいました。
「何?何か聞こえたの?」
私はブラブラとぶら下がっている受話器とRを交互に見ながら尋ねました。
Rは「聞いてみて!早く!聞いてみて!」と私を急かします。
正直、そんな気味の悪い態度の後なので障るのすら嫌でしたが、友達が一緒にいるという心強さと好奇心、そしてRが私をだまそうとしているんじゃないかとの思いから受話器を耳に当ててみました。
受話器からは「ツーツー」という電話が切れた時の音しか聞こえてきません。
5秒ほど耳を澄ましていましたが特に変わらず、もう5秒ほど待ちましたがやっぱり「ツーツー」としか聞こえません。
「切れてるじゃん。何も聞こえないけど?ビックリするから冗談はやめてよ。」
私はホッとしつつ、Rに受話器を差し出しました。
「そんなはずない!」
Rは受話器をひったくるように奪い取り、耳に当て掛けると「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」と悲鳴を上げて逃げ出してしまいました。
薄暗い中に一人残された私は急いで受話器をつまみ上げ電話を切りました。
そして受話器を触った手に何となく気持ち悪さを感じ、近くの壁にこすりつけてから走って家に帰りました。
翌日から数日、Rは高熱を出したとかで学校を休みました。
私は前日の出来事を友人らに話しましたが特に広まることもなく、少し気になった者がまた公衆電話へと向かう程度でした。
翌週にはRもいつも通り元気に登校してきま
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