
 長編 emoji_events 殿堂入り
リゾートバイト
しずく 2013年1月5日
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夜が明けたと分かっても、俺達は顔を上げられずそこに座っていた。
雀の鳴き声も、遠くから聞こえる民家の生活音も、すべてが俺の心臓に突き刺さる。
ここから出て生きていけるのか、本気でそう思ったくらいだ。
本格的に太陽の光が中に入りこんできた頃、遠くからこっちに近づいてくる足音が聞こえた。
俺達は完全に身構え体制に入った。
足音はすぐ近くまで来ると、おんどうの裏へ回り入り口の前で止まった。
息を呑んでいると、ガタガタっと音がし、「キィーッ」と音を立てて扉が開いた。
そこに立っていたのは、坊さんだった。
坊さんは俺達の姿を見つけると、一瞬泣きそうな顔をして、
坊「よく、頑張ってくれました」
と言った。
あの時の坊さんの目は、俺一生忘れないと思う。
本当に本当に優しい目だった。
俺は、不覚にも腰を抜かしていた。
そして、いい年こいてわんわん泣いた。
坊さんは、俺達の汗と尿まみれのおんどうの中に迷わず入って来て、そして俺達の肩を一人一人抱いた。
その時坊さんの僧衣?から、なんか懐かしい線香の香りがして、
(ああ、俺達、生きてる)
って心の底から思った。
そこでまた俺子供のように泣いた。
しばらくしても立ち上がれない俺を見て、坊さんはおっさんを呼んできてくれた。
そして2人に肩を抱えられながら、前日に居た一軒家に向かった。
途中、行く時に見た大きな寺の横を通ったんだが、その時俺達3人は叫び声を聞いた。
低く、そして急に高くなって叫ぶ人の声だった。
家の玄関に着くと耳元でAが囁いた。
A「さっきのあれ、女将さんの声じゃね?」
まさかと思ったが、確かに女将さんの声に聞こえなくもなかった。
だが俺はそれどころじゃないほど疲れていたわけで。
早く家に上げて欲しかったんだが、玄関に出てきた女の人がすげー不快そうに俺達を見下しながら、
「すぐお風呂入って」
って言うんだわ。
まーしょうがない。だって俺達有り得んくらい臭かったしね。
そして俺達は、3人仲良く風呂に入った。
まあ怖かった。
いきなり一人になる勇気はさすがになかった。
風呂を上がると見覚えのある座敷に通され、そこに3枚の布団が敷いてあった。
「まず寝ろ」ということらしかった。
ここは安全だという気持ちが自分の中にあったし、極限
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chat_bubble コメント(150件)
- 臍の緒どうにかせなあかんやん シンラスに壊してもらうかOPDG無い
 - 長かったけどおもしろかった松中3年島田
 - 長かったけどおもしろかった松中3年島田
 - これを省略しなかったのは偉い。いやほんとにね。匿名人間
 - 読み終わった後確認したら44ページあって長すぎィィィィィ!って思った名無し
 - なげぇなーこれでもおもろかった名無しに変わりましてVIPがお送りします
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 - このサイト初めてでこの話読んだけどおもろい! 多分釣りなんだろうけど、釣りだとしてもおもろいぽんとこつ
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 - テレビにしたら3時間かかるのにすごいですねーりafter