
長編
一家心中の噂がある廃屋
匿名 2日前
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ある所を見せたいという下心も少なからずあった。
車を降り、藪をかき分け、少しずつ廃屋に近づいた。
アイドリングのエンジン音以外何も聞こえない。静かで、不気味だった。
懐中電灯の明かりが廃屋の中をちらちらと照らし、俺はあまり直視しないよう、一歩ずつ廃屋に近づいた。
「あーーーーーーーーーーーー」
!!
確かに、女の人の声だった。山の中、離れたところから女の人が叫ぶような声が聞こえ、俺は思わず足を止めた。
ヤバい、怖い。
怖いけど、まだ廃屋にも入っていない。
車の中からあの子が俺を見てる。
もう少しカッコいいとこ見せたい。
怖さと下心の狭間で猛烈な葛藤があった結果、俺は意を決して廃屋の中へ向かった。
じゃり・・
と割れたガラスを踏みしめる音と共に、俺は戦々恐々と廃屋の中へ踏み入った。
そこはがらんとした板張りの部屋で、家具類は何もなく、天井や壁のベニヤ版が腐って垂れ下がっていた。窓の外は深い闇で、植物が生い茂っている様子が見えた。
うう・・気味悪い・・・
正直めちゃくちゃ怖くてビビっていた。
とりあえず廃屋の中には入った。あとちょっとしたら戻ろう。
そんな風に思っていると、携帯電話が鳴動して死ぬほど驚いた。
着信画面には、車の中にいる例の女の子の名前が表示されていた。
心配してくれたのか!?
俺はちょっと嬉しくなって通話ボタンを押した。
が、電話に出られない。
何度も通話ボタンを押しても着信音が鳴りやまず、電話に出られない。
なんだこれ! どうなってんの!?
だんだん恐怖に駆られ始めた俺は、慌てて廃屋から飛び出した。
その間もずっと携帯電話が鳴り続けている。
その音がまるで霊を呼び寄せようとしているかのように聞こえ、どんどん恐怖心に体が囚われていく。
携帯電話はどのボタンを押しても全く反応せず、着信音も鳴りやまない。
もう嫌だ!
全速力で藪の中を駆け抜け、俺はみんなが待っている車のドアに飛びついた。
そしてまるで嘘のように、その瞬間に携帯電話がぴたりと鳴りやんだ。
全身から汗が吹き出し、みんながそんな俺を恐ろしいものを見るような目で見た。
「なに、どうしたんだよ?」
友人に、俺は今あったことを話した。
すると後部座席からあの女の子が言った。
「・・え? あたし、電話なんかかけてないけど・・」
「いやだって、ケイタイにお前の名前出てたし。ほらこれ」
俺は目を疑った。着信
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- 結構怖いですパクリ
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