
長編
小5の思い出
きき 3日前
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が、いかんせん事の発端が俺の下らない嘘ため正直にいう事も出来ず、先生からの説明をそのまま繰り返す事に終始した。
多分両親にはバレてたと思うんだけど、事が事だけに反省してるなら、教訓になったでしょう、とあまり追求はされなかった。
さて、週明けの月曜日。
当然ながら学校はその話でもちきりだった。
そりゃそうだろう。
幽霊が出て宿泊学習が中止になったときたら、大騒ぎにならないほうがおかしい。
ましてやこの小さな小学校での出来事である。
反面、俺たち3人は憂鬱だった。
今更「嘘でした」とも言えず、かといって便乗して吹聴するわけにもいかない。
ちなみに繁は自分が行く前に騒ぎになったので罪悪感もそれ程無いようで、「やっちまったな」感ありありの態度でちょっとイラッとした。
ともあれ、いつもなら武勇伝のように騒ぐはずの俺たちが大人しくしていることから逆に幽霊騒ぎの信憑性は高まり、その週は騒ぎが終息することもなかった。
陽子といえば、霊感少女の本領発揮とばかりにお祓いと称して家から塩を待って来たり、何処で買ったのか十字架のネックレスを付けてきたりして(浄土真宗のくせに)、甚だやかましかった。
次の週明け月曜日、全校朝会で校長が動いた。
「幽霊の話で学校中が騒がしいですが、怖がることはありません。そもそもこの学校は墓地を移設した跡に建てられてたこともあり、そういった話が出やすい場所ですが………」
衝撃が走った。
今まであくまでも「まことしやかな噂」だった
「墓地跡に建てられた学校」が本当だったことが判明した瞬間である。
親が卒業生、という生徒も多く聞いたことかある生徒もいただろうが、親からなんとなく聞かされるのと校長の口から全校朝会で聞かされるのとでは衝撃の度合が違う。
結局また校長の善意の暴走により、幽霊騒ぎは終息するどころか更に拍車がかかってしまった。
校内は騒然となった。
さて、そんな校内で「黒いワンピースでおさげの女の子」の幽霊の目撃談が囁かれるようになった。
やれ、「2年の子が見た」だの「6年生の兄ちゃんが見た」だのと、毎日のように新しい目撃情報が飛び交った。
そんな話を聞くたびに俺はうんざりした気持ちになり、
「もう勘弁してくれ。それは俺たちが作った嘘だ。」
と何度も言いそうになった。
だって居るわけがないんだから。
しまいには自分の事を棚に上げて、そんな話をするやつを汚い噓つき
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- 怖かったし小説を読むように刺激的でした。文才あるんですね。 しかも、こんな事って現実にあるんですね。K
- こんなに細かく昔のことを思い出せるのがすごいなぁって思いました。すみません。
- 結構おもしろかったlalala
- 伊之助さん「えきょう」