
私たち家族は、秋の旅行で異国の遊園地に行くことにした。娘が高校を卒業する記念も兼ねていた。最終日、私たちは宿泊先の近くにある「メルヘン遊園地」に向かうことにした。
その遊園地は、街の中心を見下ろす高台にあり、周囲の風景が一望できるほどの大きさだった。大きな観覧車がシンボルで、どこにいてもその姿が目に入る。しかし、カーナビを使っても、目的地には全く近づいていないように感じた。
道路標識は現地語ばかりで、数字といくつかの絵文字だけが頼りだった。焦りながらも、私たちは道を進んでいくと、見たこともない古びた遊園地の入口に辿り着いた。
チケット売り場もなく、入ってすぐに広がっていたのは、錆びついた乗り物たちだった。まず目に入ったのは、無惨に壊れたメリーゴーランドと、朽ちかけた観覧車だった。
だが、すぐに異変に気づいた。周囲には誰もいないはずなのに、遠くから子供たちの声が聞こえ、「遊ぼう!遊ぼう!」と繰り返していた。
私たちは不気味な思いを抱えながらも、遊園地の奥へ進んでいくと、スタッフルームが見えた。ノックしてみたが、静寂が返ってくるだけだった。
その時、突然ドアが内側から叩かれた。ドン、ドン、ドンと、まるで誰かが必死に助けを求めているような音だった。
しかし、数秒後には静まり返ってしまった。恐怖に駆られ、私たちは急いで車に戻ったが、視界の端で子供たちの声がさらに大きくなり、まるで私たちを引き留めようとしているかのように感じた。
車に乗り込むと、カーナビには何も表示されていなかった。「ここは通行止め」とだけ表示されていた。真の「メルヘン遊園地」は、数キロ先にあったのだと知ったのは、後になってからのことだった。
それから一年経った今でも、あの不気味な声が耳から離れない。検索しても、この遊園地に関する情報は一切出てこない。何だったのか、今でも謎のままだ。
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