
長編
あんたがたどこさ
匿名 4時間前
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た言葉だ。考えなければ、アイデアは生まれない。考えろ、僕。
そこで、一つ思い至る。僕が今座りこんでいる、この地面の図形。
僕は、この図形から、ここに来たのだ。『あんたがたどこさ』によって。では、同じことを繰り返せば、元の世界に戻れるのではないか。
俄然元気になった僕は、図形の中に立つ。眼を瞑る。
せーの。
飛ぶ。唄う。間違えない様に、慎重に。
「かーくー、……っせ!」
どうだ。目を開く。
風景に、変わりは無い。しかし、静かだ。どうだ、僕は戻れたのか?
「……わっ」
……わっ、わ、わ……
こだました。僕は、戻れなかったようだ。
それから、何度かパターンを変えて試してみた。スタートの位置を変えてみたり、飛び方を変えてみたり、Kの様に音痴に唄ってみたり。けれども、いずれも効果は無かった。
もしかして、二人でなくては駄目なのか。
一人では駄目なのか。
一人。無音。暗闇。怖い。
いかんいかん、冷静になれ。後頭部を叩く。考えろ考えろ僕の頭。
もしもだ、僕が『あんたがたどこさ』によってここに来たとする。そうだとしたら、その歌詞に、何かヒントが隠されていないだろうか。
僕は『あんたがたどこさ』の歌詞を頭の中でなぞってみた。肥後……熊本……せんば山。そこで、僕はふと思い至る。あの歌詞の中で隠されたのは、タヌキだ。鉄砲で撃たれて、煮られて、焼かれて、木の葉で隠される。
もしかして、僕はタヌキ? だったら、Kは猟師だろうか。
しかし、そんなことに気付いてもどうにもならないのだった。
足元からじわじわ上って来る恐怖が、膝を越えた。足が小刻みに震えだす。まずい、正気の僕に残された時間は割と少ないらしい。
勘弁してくれ。僕だって怖がりなのだ。
一人は怖い。いつもは、どんな心霊スポットに行ってもそれほど怖くは無い。何故なら僕の隣には、SとKが居るからだ。そう言えば、今日は三人じゃなかった。それがいけなかったのかもしれない。
Sが今日来れなかった。急にバイトが入ったと言った。けれど先程、僕とKが学校の探索をしている時にメールが来ていた。その時の僕は、廃校探索に夢中で、Sからだと知っただけで、メール自体は見てなかった。
それを思い出した僕は、ポケットから相変わらず圏外で役に立たない携帯を取りだした。
操作して、メール受信画面を開く。
『今何処にいる?』
それが、Sからのメールだった。それが分
この怖い話はどうでしたか?
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- めっちゃ怖かったです、けど、戻れてよかったですね結
- 私も、危険というレッテルをどこかに貼ってみたいですね ところでレッテルってどこかに売ってるのでしょうか ホームセンターや文具・雑貨店などでは見たことがありません Amazonでもレッテルという商品はありませんでしたあ
- これ、なつのさんの奴だよね?肉団子
- 創ったにしても好きだわ、この手の話。でもよく手毬唄で戻れるって気付いたなぁ。自分だったら試しもしないかも。kayaro
- 何で友人と電話してるのに目の前で話してるんだ?名無し
- 本当にあった訳ないじゃない 文章が上手いですね
- 素晴らしい。だっち
- 本当に有ったんですか? 電波関係なく写真や動画撮って欲しかったですね!!