
長編
あんたがたどこさ
匿名 17分前
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けたら、……帰ってこれんの?」
するとKは、うははと笑い、「シラネ」と言った。
「おいおい……」
「まあいいじゃねーか。さ、はじめっか……。目を瞑れーっ!」
まあいいのか? と思いつつも、僕は目を瞑った。
せーの。
あんたがったどっこさ……。
「イテっ!」「あたっ」
いきなり間違えた。慣れないと意外に難しいのかもしれない。
「おいおいお前、ちゃんとやれって!」
「あははのは。ごめんごめん。次は、さ?」
「ったくよー」
頭の中でシュミレーションする。交互に交互に……さ、で飛ぶ。
いっせーの。
「……いてっ」
正面衝突。一瞬間違えたのかと思って謝りかけたが、よく考えてみると、僕は間違っていない。目を開けて見ると、Kが手刀をかざして「わりーわりー」
「次は本気で行くからよ」
僕は何だか急に馬鹿らしくなってきたが、あと一回くらいはやってみようかと思う。
いっせーのっせ。
あんたがったどっこさ、ひーごさ、ひーごどっこさ、くーまもっとさ、くーまもっとどっこさ、せんばさ……、
せんーばやーまには、たーぬきーがおってさ、それーをりょーしがてっぽでうってさ、にーてさ、やいてさ、くってさ……、
……それーをこーのはでちょいとかーくー
「――せっ――」
前へとんで、僕は目を開いた。
四角の中に居た。成功だ。
ちょっと誇らしい気持ちになって、僕は、Kはどうかなと思い振り返った。
そこに、Kの姿は無かった。
「……え?」
右を見て、左を見て、もう一度右を見て。僕は、ははあ、と思う。全てはこのためだったのだ。『目を瞑ったままのあんどこ』などという凝ったことをさせておいて、Kは唄の途中でこっそり抜け出し、僕がおろおろするのを隠れて見て楽しむつもりなのだ。
Kの奴め。
僕は何とかしてKを見つけてやろうと思いそこら中を注意深く見渡した。グランドに身を隠せるような場所は少ない。しかし、Kは見つからなかった。うまく隠れたものだ。そうして僕は、持っていた懐中電灯で地面を照らした。グランドにKの足跡が残っているかも、と思ったのだ。
しかし、足跡は無かった。
おかしい。
その時だ、違和感を覚えた。
僕らはさっき前後左右に飛び跳ねてたはずだ。足跡はともかく、その飛んで着地した痕跡までない。地面に見えるのは、Kが描いた図形だけ。僕は二歩三歩と歩いてみた。足跡はつく。
これは、おかしくないだろ
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- めっちゃ怖かったです、けど、戻れてよかったですね結
- 私も、危険というレッテルをどこかに貼ってみたいですね ところでレッテルってどこかに売ってるのでしょうか ホームセンターや文具・雑貨店などでは見たことがありません Amazonでもレッテルという商品はありませんでしたあ
- これ、なつのさんの奴だよね?肉団子
- 創ったにしても好きだわ、この手の話。でもよく手毬唄で戻れるって気付いたなぁ。自分だったら試しもしないかも。kayaro
- 何で友人と電話してるのに目の前で話してるんだ?名無し
- 本当にあった訳ないじゃない 文章が上手いですね
- 素晴らしい。だっち
- 本当に有ったんですか? 電波関係なく写真や動画撮って欲しかったですね!!