
長編
あんたがたどこさ
匿名 4日前
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……あんたがったどこさ、ひごさ、ひごどこさ、くまもとさ」
「分かった分かった。……じゃあよ、『あんどこ』って知ってるか?」
「あんどこ?」
それは知らない。と僕が首を振ると、Kは手にした木の棒で、今しがた地面に描いた図形、田んぼの田を指した。
「『あんどこ』ってのは、この四つの四角の枠の中でな、リズムに合わせて飛ぶんだよ。右、左と基本は左右交互に飛んで、あんたがったどっこさっ、の『さ』の部分だけ一瞬前に飛んで、戻る。いいか? よく見てろよ」
どうやら、手本を見せてくれるらしい。
せーの。
「あんたがったどっこさあっ! ひっごさ。ひっごどっこさ!? くまもっとさ! くまもっとどっこさ? せんっばさあっ!!」
大声を張り上げながら、Kは自分で作った図の中を前後左右にぴょんぴょん飛び跳ねた。
「……とまあ、大体こんな感じだな。分かったろ?」
と言われても、僕としては首を傾げるしかない。こいつは一体何がしたいんだろうか。分かったのは、やはりKはとてつもなく音痴ということだけだ。
「今のが『あんどこ』 ……まっ、遊びだ。遊び」
「へえ……で?」
もしかして、それを僕にもやれと言うのだろうか。しかしKの顔にはまさにそう書いてある。
「で、じゃねえよ。お前もやんだよ。二人で『あんどこ』」
「やだよ。なんで僕がそんなこと」
「何でってお前……しらねえの? ま、噂だけどよ。これ二人で目えつぶってやったら、なんか『別の世界』に行けるんだとよ」
およ、と思った。せっかく小学校に来たのだから、ただ単に昔を懐かしんで子供の遊びをやろう、と言うわけでもないらしい。それなら面白そうだということで、僕はその『あんどこ』をやることにした。
Kの説明によると、田んぼの田の形に区切られた四つのスペースの内、まず二人が、それぞれ左ナナメに相手が居る様にして立つ。それから目を瞑り、暗闇の中で『あんたがたどこさ』を唄いながら飛ぶ。スタートは左に。
全てを唄い終わり、『ちょいとかーくーす』の『す』で前に飛んで終了、そこで目を開ける。
何が起こるかはお楽しみ。
注意事項として、歌を間違える、飛び方を誤る。相手にぶつかる。目を開けた時に田んぼの田からはみ出したら失敗。
「んじゃ。行くぞ」
「ちょっと待って」
「何だよ?」
「いや、ちょっと気になったんだけど。『あんどこ』が成功してさ。その、Kが言う妙な世界にもし行
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- めっちゃ怖かったです、けど、戻れてよかったですね結
- 私も、危険というレッテルをどこかに貼ってみたいですね ところでレッテルってどこかに売ってるのでしょうか ホームセンターや文具・雑貨店などでは見たことがありません Amazonでもレッテルという商品はありませんでしたあ
- これ、なつのさんの奴だよね?肉団子
- 創ったにしても好きだわ、この手の話。でもよく手毬唄で戻れるって気付いたなぁ。自分だったら試しもしないかも。kayaro
- 何で友人と電話してるのに目の前で話してるんだ?名無し
- 本当にあった訳ないじゃない 文章が上手いですね
- 素晴らしい。だっち
- 本当に有ったんですか? 電波関係なく写真や動画撮って欲しかったですね!!