
高1の最後の3月を生き延び、無事に2年生へと進級した大学1年の俺だ。約束通り、ここからはさらに異常さを増していく「高校2年生の時の地獄」を順番に書き込んでいく。
4月になり、俺は新しいクラスにも慣れ、陸上部では先輩になった。
新入生(高1)が体験入部でたくさんやってきて、夕方のグラウンドは活気に満ちていた。
高1のあの1年間を潜り抜けた俺は、「もう最悪な時期は脱出したんじゃないか」と完全に油断していたんだ。
今回は、先輩になったばかりの4月、俺の目の前で部員たちが次々と血を吐いて倒れた、高2の1回目の怪談をここに詳しく吐き出させてほしい。
4月下旬のある日の放課後、夕方のことだった。
陸上部の中長距離ブロックの練習メニューとして、俺たち2年生3人と、新入生の男子8人を合わせた計11人で、グラウンドのトラックを大きく使った長距離の「集団走」を行うことになった。
俺が列の先頭を走り、新入生たちがその後ろを等間隔でピタピタとついてきて、その後ろに俺と同学年の2人が走りついてきている、いつも通りの練習のはずだった。
外は夕暮れ時。グラウンドの照明がつき始めた頃、走りながらふと、先頭の俺の後ろを走る部員たちの「足音」に、妙な違和感を覚えた。
一人、明らかに陸上部のスパイクとは違う、裸足で湿った地面を叩くような不快な足音が混じっている。
ペースを維持しながら、バックストレートでさりげなく後ろの列を数えた。
1、2、3……10、11、12。
12人いる。名簿より一人多い。
列の一番最後尾に、【全身の肌が灰色で、何年も昔の型落ちしたうちの学校のユニフォームを着た、見知らぬ生徒】が、息も切らさずに無表情でピタピタとついてきていた。
そいつと目が合った瞬間、ゾクッと全身の毛穴が逆立った。高1の経験から、本能が最悪のルールを察知した。
その灰色のランナーは、恐ろしいことに前を走る新入生の一人を、一切の予備動作なく「スッ」と横から追い抜いた。
その瞬間、抜かれた新入生が、まるで糸が切れた人形でんのようにその場にバタッと激しく倒れ込み、口からどす黒い血を大量に吐き出して動けなくなった。
周囲の部員は誰もそれに気づいていない。
そいつはさらにペースを上げ、一人、また一人と前の部員を追い抜いていく。
そのたびに、抜かれた奴らが白目を剥いて血を吐き、トラックへ崩れ落ちていく。
あっという間に俺の後ろの部員が全員倒れ、そいつは俺のすぐ真後ろ、背中が触れ合うほどの距離まで迫ってきた。
後日談:
- 気がつくと、グラウンドのトラックの上には、俺と一緒に走っていたはずの新入生たちが全員倒れていた。 救急車が何台も呼ばれ、学校は大騒ぎになったが、病院に運ばれた奴らは全員「重度の熱中症による急性脱水症状」と診断され、命に別状はなかった。俺が目撃した、全員が血を吐いて倒れたという生々しい光景は、誰も覚えていなかった。 だけど、あれは絶対にただの熱中症なんかじゃない。 なぜなら、あの怪談があってから大学1年になった今でも、俺は【部活や趣味で走っている時、自分のすぐ後ろから別のランナーの足音が近づいてくるだけで、あの灰色の顔がフラッシュバックして足がすくみ、呼吸が完全に止まってしまう】んだ。 特に新学期の4月になると、走るたびにあの日シンクロさせられた心臓の奥が、針で刺されたように激しくズキズキと痛み出す。 高1の地獄を乗り越えた俺を待っていたのは、さらに身体能力をピンポイントで潰しにくる、高2の圧倒的な悪意だった。 次は、5月だ。
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