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中編

グリーン車の数分間

匿名 2025年7月12日
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その日、俺は新幹線の自由席に座っていた。 東京から新大阪まで乗る予定で、混んでる時期ではあったが始発駅であったので窓際に座ることができた。 その新幹線は東京を出ると名古屋まで停まらないので、2人がけの通路側の席には荷物を置いていた。 しばらくすると、 「すみません。」 とお腹がぷっくり膨れた妊婦が幼児くらいの女の子を連れて話しかけてきた。 話を聞くと 「これから、新大阪まで行くためにグリーン個室をとっていた。だがいざグリーン個室に入ると、娘が『(個室は)閉じ込められているみたいでこわい』と泣きそうな顔になる。だから、ここの席と、私の1人用個室を交換して貰えないか。勿論、差額などのお金はいらない。」 とのことだった。 何か裏があるのかとも思ったが、妊婦や小さい女の子が困った様子なのとグリーン個室に乗れるなんてラッキーと思い、俺は交換に応じた。 グリーン個室に向かうと、そこは予想より遥かに快適だった。 ソファーでゆったりとしたり、走行音以外の物音が聞こえないのもいい! 俺はずっとのんびりとしていた。 しばらくしてトイレに向かうと、廊下のデッキのところでさっきの妊婦と娘の女の子が気まずそうに立っていた。 俺は妊婦に訳を聞いてみると、妊婦が俺と交換した席についていると、近くの席で話を聞いていた30くらいの女が 「何で私に声をかけてくれなかったの?グリーン個室なら私が行きたかった!」 と言いがかりをつけた。 妊婦はこういう事情でと説明したが、女は聞く耳を持たず。 他の乗客のいる前で怒鳴られ、娘も怖くて泣いていた。 散々文句を言ったあと女は席に戻ったが、ずっと妊婦を睨んできたり、女が近くを通ったときに舌打ちをされたりした。 『妊婦は娘やお腹の子に何かされたらと恐怖を感じ荷物を置いたまま慌てて逃げてきて、自由席車両に戻れない。』 とのことだった。 それを聞いた俺は許せねーな!と思いながらもドヤ顔で笑い 「大丈夫です。任せてください!」 と自由席車両に向かった。 その女はすぐに見つかり俺は声をかけた。 「あの、すみません。グリーン個室なんですけど、よかったら譲りますよ。」 女は不貞腐れたような顔を少し緩めながらも 「譲るって言うより私が貰うはずだったんだけど。まぁいいわ。」 と言って俺についてきた。 「こちらの個室なんです。」 と俺はグリーン個室に女を案内し、そして扉を閉めた。 女は嫌な予感がしたのか振り返り 「早く出て行きなさいよ!」 女は強い口調で言ったが、俺は 「お前の望むようにグリーン個室に連れてきてやったんだ。だから、最高のおもてなしをしてやるよ!」 「は?何?ってか、何するのよ?」 俺は女の体を乱暴に掴んだ。 「何するの?警察呼ぶわよ!」 「呼んでくれ!その代わり、お前が妊婦さんやまだ幼い女の子を恐喝したことも言っといてやるよ。」 すると女は真っ青になり黙っていた。 ・・・ 数分後。 女は床にポタポタと涙を流し、俺は 「妊婦や小さい女の子は守ってやるべきだろう?」 女の肩を叩くと、女は座り込み黙って泣いていた。 結局、妊婦と女の子は自由席に戻り、俺は廊下のデッキで外の景色を眺めて、女は望み通りグリーン個室の中で終点まで啜り泣いていた。

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