
冬休みを利用して、家族で温泉宿にやってきた。都会の喧騒を逃れ、温泉の湯に浸かることが楽しみだった。特に、じいちゃんが昔から経営していたこの宿には、少し不思議な伝説があった。宿の裏手にある神社には、数十年前に行方不明になった兄妹の霊が現れるというのだ。
ある晩、家族が宴会を楽しむ中、俺は宿の外に出て神社へと向かった。雪がしんしんと降り積もる中、神社にたどり着くと、そこには一人の女の子が立っていた。彼女は長い黒髪を持ち、温かみのある笑顔を浮かべていた。彼女の名前は雪乃で、兄がいると言った。俺は思わず話しかけた。
彼女と一緒に過ごすうちに、俺は彼女に強く惹かれていった。彼女は缶蹴りや鬼ごっこを知らなかったが、すぐに仲良くなり、楽しい時間を過ごした。雪乃は積極的に遊びを提案し、彼女の兄も時々一緒に参加してくれた。彼は優しそうで、笑顔を絶やさなかった。
数日後、宿の滞在が終わる日が近づくと、俺は寂しさを感じた。雪乃に「来年もまた会おう」と約束をした。その瞬間、彼女の目に涙が浮かんだ。
翌年、また宿に行くことを楽しみにしていたが、雪乃は姿を見せなかった。代わりに兄の姿だけが見えた。俺は不安になり、彼に尋ねた。「雪乃はどこに行ったの?」
「彼女はもうここにはいない。彼女は、川での遊びを楽しんだ後、遠くへ行ってしまった。」
その言葉を聞いても、俺には理解できなかった。ただ、雪乃のことを考えると胸が苦しくなった。お盆の頃、親戚が集まってきたとき、宿の周りの雪は溶け、日常が戻ってきた。俺は一人神社へ行くと、雪乃は現れた。
彼女は少し大人びていて、前よりも美しかった。俺は彼女に自分の気持ちを伝えようと決意した。しかし、彼女の口から飛び出した言葉は、俺の予想を超えていた。彼女はこう言った。「ごめんね、私、ここを離れなければならないの。」
呆然とする俺に彼女は続けた。「私の兄は、かつてこの宿で亡くなったの。私は彼と一緒に、もう一度遊びたいと思っていた。でも、あなたと出会ったことで、私は本当に楽しかった。だから、もう行かなきゃいけなくなったの。」
彼女は俺に抱きつき、ささやいた。「ありがとう、さようなら。」その瞬間、彼女は消えてしまった。俺はただ、目の前で起きたことが理解できなかった。
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