
中編
峠道
匿名 3日前
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一、Dさんにだけは変わらず声をかけてきた。
「でも、いつも同じことしか言わないんですよ。あの峠道に行こう、あの峠道に行こうってうわ言のように口ずさんでは、執拗に誘ってくるんです」
そのときのTさんの顔の肌が、まるで作り物みたいな質感に見えて気味が悪かったという。
大学を卒業してからも、そんな誘いの電話が一日に何十件とかかってきた。ノイローゼになり、着信拒否をしたり携帯番号を変えたりもしたが、何度手を尽くしたところでTさんからの電話が途絶えることはなかった。
耐え切れずに一度だけ出てみると「今からドライブしようよ」と、番号は間違いなく本人からなのに、どう聞いてもTさんとは別人の声で言われたらしい。
「きっと、あのとき一緒にいた僕の体も欲しいんでしょうね。Tさんから奪ったみたいに」
Dさんがやつれた声でそう言った直後に、テーブルに置いてあった携帯電話が突然震えた。着信相手の名前をじっと見つめるDさんの頬は、ひどく痩せこけていた。
電話はしばらく鳴り止まなかった。
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- お祓い行けよ((((;゚Д゚)))))))うんこりん
- ホントの話なら最後はどうなったんですか?ぼんばー50
- 身体取られないように お祓いしたら?イリミナ