
長編
黒装束とお告げ
匿名 3日前
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て、すぐさま事の顛末を悟り、俺を連れてこの集落へ駆けつけたようだった。
じいちゃん「今日はな、ばあさんが死んでから丁度20年目だからの、呼んでるんだよ」
そうしてじいちゃんはその集落のうちの一つの家へ行き、躊躇いもなく中へ入っていった。俺も震えながらじいちゃんの後ろに続いた。床がミシミシと音を立てる。中はかなり埃っぽかったがじいちゃんはそんなに気にしておらず、ズカズカと中へ入り、しばらく歩くとそうして仏壇のある小さな部屋へ入った。
俺は目を疑った。そこには写真で見たような花嫁装束で身を包んだ美しい女性が座布団の上に腰を下ろしていた。装束の色は相も変わらず黒ずんでいたが。
じいちゃん「やっぱり呼んどったんか。春河…こうして直接会えるのも、葬式以来じゃの。」
そうしてじいちゃんは彼女へ歩み寄り、めいっぱい抱き締めていた…「ずっと…会いたかった」その姿は、二人が長年連れ添った夫婦だということを感じさせるには十分だった。いつしか、暖かい空気が部屋を優しく漂っていた 。
その女性、俺のばあちゃんに当たる人は涙を浮かべてじいちゃんを優しい眼差しで見つめている。じいちゃんと何やら話しているようだが、うまく聞き取れない。すると、ばあちゃんは俺の方を優しく見つめてきた。頭の中に、か細くもよく通る声が響いてくる。
ばあちゃん「坊、初めまして。さっきは驚かせてごめんねぇ…話をしたかったんだけど、坊には私の存在がまだ重かったのね…実はね、伝えたいことがあって来たの…坊、あなたはね、私達みたいな存在…所謂、霊魂を引き寄せやすいのよ。良いものも悪いものもね。だから私の写真が落ちてきた棚があったでしょう?その一番上の小さな引き出しにある御守りを持っていて欲しいの。きっと坊の助けになるからね。いい?何があっても御守りを肌身放さず持っていてね…それじゃあ…あなた、坊…会えて嬉しかったわ。いつでもあなた達を見守っているわ。ああ、それとお母さんによろしく伝えておいて」
そう言い残すとばあちゃんは暖かい空気と共に跡形もなく消えていった。そうして、俺とじいちゃんはこの集落を後にした。車の中でじいちゃんは泣きながら、ばあちゃんと過ごした日々を語ってくれたのを未だに憶えている。その後、ずっと引っ掛かっていた黒い花嫁装束についてじいちゃんに聞いたのだが、あれは花嫁装束ではなく葬式の時に着ていた死装束だそうだ。(全然知らなかった)
こうして、今は
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