
私が通い付けの美容院で聞いた話。
私を長年担当してくれている女性美容師さん。
とても優しい雰囲気の女性で、ホラーやオカルトとは縁遠い感じがしたが、彼女は何回か不可思議な体験をしている。
数年前の話。当時、彼女は結婚したばかり。
その年のお正月に旦那さんの実家に泊まりにいったそう。親戚もたくさん来ていて、皆で食卓を囲んでおせちを食べたりお酒を飲んだりしていた。
そんな中、旦那さんの父親がカメラを持ってきて言ったそうだ。
「写真撮らにゃあ。せっかく〇〇(旦那さんの名前)の嫁さんも来てることだし」
義実家では盆暮れ正月など、親戚が集まる時は必ず写真を撮るらしい。毎年の恒例行事になっているそうだ。親戚同士の仲の良さを感じた彼女は、やっぱりこの人と結婚して良かったとしみじみした。
その日の夜。お風呂から出た彼女がリビングで義母とテレビを見ていると、旦那さんが来て言った。
「さっきの写真見る?他の写真も見ていいよ」
彼女はカメラを受け取ると、さっそく写真を見たそうだ。昼間から顔を真っ赤にした義父や親戚、はにかんだような笑顔の義母、その中心に肩を寄せて並ぶ自分と旦那さん。幸せが溢れてくる温かい写真だ。
彼女は他の写真も見てみることにした。先ほど同様、親戚一同で撮った写真もあれば、旦那さんや従兄弟のおちゃらけた写真もたくさん保存されている。その中に1枚だけ妙な写真があった。
お風呂場の写真だ。
別に変わった所があるわけじゃない。一般家庭にありそうな、ごくごく普通のお風呂場。浴槽、シャワー、洗い場がある。だが、何となく薄暗いし気味が悪い。
そもそも義実家のお風呂場ではない。
「ねえ、この写真何?誰の家のお風呂場?」
彼女が聞くと、旦那さんはキョトンとした。彼女がその写真を見せると、彼は眉をひそめて言った。
「知らない。何これ…。誰んちの風呂だよ」
その場にいた義母に聞いてみると、義母は困ったように笑いながら「ああ、それね」と呟いた。そして続けた。
「勝手にカメラに入ってたの。一昨年かな、写真の整理をしようと思って見てたらさ、その写真があって。家族に聞いても誰も知らないって言うし。第一、そのカメラ、家から出さないしね。親戚が集まった時しか使わないから。人んちのお風呂場なんて、誰が何の目的で撮るんだか」
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