
私は大学生で、冬休みのアルバイトとして古い倉庫で働いていた。ある晩、忘れ物を取りに戻ることになり、寒い中を再び倉庫へ向かった。中にはまだ数人の同僚がいて、手伝うことにした。
「ん?」
不意に気配を感じ、振り向くと、倉庫の奥の扉がわずかに開いていた。しっかり閉めたはずなのに、どうしてまた開いているのか。戸惑いながらも、私はその扉を閉めて仕事に戻った。だが、数分後、再び変な気配を感じた。まるで誰かにじっと見られているかのように。
振り返ると、扉はまた同じように3センチほど開いていた。
閉めようとした瞬間、ドンッと音を立てて扉が閉まった。誰かが勢いよく閉めたかのような音だった。だが、私が入った後に誰も出て行っていないのだ。恐る恐る扉を開けてみるが、誰もいない。ただの静寂が広がっていた。
その時、背中を向けていた同僚が呟いた。
「またやったな、あれ。」
その言葉に私は驚き、意味を尋ねた。すると、長く残業をしているアルバイトの間である噂が広まっているという。どうやら、夜の9時頃になると、倉庫の扉がひとりでに開き、閉まるというのだ。
「もしかしたら、誰かが隙間から見てるのかもしれない。」
淡々と語る同僚の言葉に、私は背筋が寒くなった。何か不気味なものを感じながら、私は再び仕事に戻ったが、心のどこかでその存在を意識せずにはいられなかった。倉庫の中は静かで、ただ冷たい風だけが通り抜けていった。私の背後にある扉が、いつまた開くのか、恐怖に震えながら待っていた。
その夜、私は一睡もできなかった。倉庫での恐怖は、私の心の奥深くに刻まれたままだ。どんなに懸命に思い出そうとしても、その「何か」の正体は、今もなお、闇の中に隠れている。
この話を思い出すたび、あの扉の隙間から覗いているのは、果たして何だったのだろうかと考えさせられる。
夜が明けることはあっても、私の心の中の恐怖は、決して消え去ることはなかった。
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