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長編

あの夏からずっと

匿名 2025年2月12日
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私は月に数回のペースで不思議なことを体験しているのですが、最近、事の発端である出来事がありましたので供養させていただきます。 拙く長い文章になりますが、どうぞお付き合いください。 8年前、とある初夏の夜。 高校生だった私は暑さのあまり中々眠りに入れず、目を瞑ったままベッドでひたすら寝返りを打っていました。 その日は23時に横になったのに、目をやった時計の針が指すのは2時。 酷く嫌な気分になりつつも、クローゼットを挟んで隣のベッドで寝ている妹を起こさぬよう大人しくしていることに。図→(私 棚 妹) 明日も学校なのになぁ……と大きく溜息をついたその時、如何にも人工的な笑い声が部屋中に響いたのです。 「アハハハハハ、ハハハハハハ」 その声の正体が妹のおもちゃ箱にある笑い袋だとすぐにわかったので、おおよそトラックが家の前を通った時に地面が揺れたのが原因と察しをつけ、電源を切るべくベッドから足を下ろしました。 気味悪い声にピクリともしない妹の横を通り抜け、箱を開けて笑い袋を探す。 奥底の方からするくぐもった声は他のおもちゃを退けると徐々に大きくなり、箱の底が見えていよいよ鮮明に聞こえた時、私は目を疑いました。 笑い袋が無い。 確かに目の前から笑い声はするのに。 「ハハハハハハ」 日頃から怖い話は好きでよく読んでいましたが、全く霊感が無い自分が実際に奇妙な場面に遭遇するとどうなるか、この時初めて知ることになりました。 ただでさえ暑くて寝付けないストレスがあったからでしょう、怖いよりも腹が立ったのです。 舌打ちをして軽くおもちゃ箱を蹴ると、実態のない笑い袋は「はぁーあ」と終了の一笑いをして、部屋は静かな夜に戻りました。 出したおもちゃは明日片付けよう、そう考えながら自分のベッドに戻って時計に目をやります。 午前3時。 あと3時間しか眠れない焦りを抑えるように無理やり目を瞑ったのです。 程なくして意識を手放すかと思ったその時、名前を呼ばれながら身体を揺さぶられる感覚で起こされました。(ここでは名前を伏せます) 「お姉ちゃん、お姉ちゃん」 目を開けると足元に立っていた妹が立っており、私の脛を揺すっているのです。 「起きてお姉ちゃん」 私と妹は10歳近く離れていることや、当時は勉強で忙しかったこともあって、普段から会話は全くしていませんでした。 そんな妹が私に話しかけてくるなんて只事ではないと思ったので、いくら眠くても無視はできません。 「なに?」 「足、足痛い」 「攣ったんやろ」 「違う、叩かれてる」 この子供部屋にいるのは私と妹の二人だけで、夜行性の両親はまだ一階で起きています。 私はさっきまで自分のベッドで寝ていましたし、妹の発言の意味が全く理解出来なくて、これだからガキの話は嫌なんだ……と心の中で文句を言っていました。 「意味わからん、寝たら?」 「見て、見てや」 寝返りを打って背を向けようとする私を止めて、見て、と繰り返す妹の腕力はとても幼い子どものそれとは思えません。 笑い袋の件もあって恐怖心が即座に蘇ります。 「見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て」 「わかったって!」 自分を奮い立たせるように声を上げ、勢いをつけて上半身を起こして妹の足元を見ると、無数の手が妹の足を叩いていたのです。 典型的な叫び声を上げる余裕すらなく、ヒュッと息を飲んだところで目が覚めました。 視界にはよく見慣れた天井が映っており、窓の外は暗闇です。 時刻は2時。 なんだ、随分とリアルな怖い夢だったな。 過去一で怖かった夢に心臓は痛いほど速い鼓動を刻み、呼吸も運動時くらい激しくなっていました。 さすがに眠気がなくなってしまい、お茶でも飲みに一階へ降りようかと身体を起こした時、私を見下ろす妹と目が合ったのです。 子どもとは思えない薄ら笑いを張り付けて、妹じゃない声で一言 「優しいお姉ちゃん、足ちょうだい」 と呟いてベッドへ戻っていったのです。 混乱の末、私は暑さなんてすっかり忘れてかけ布団を頭まで被り、一睡もせずに朝日を拝むことになりました。 それから鬱々としたまま学校へ行き、家に帰ってから母に昨夜の出来事を話すことにしました。 母は、存在を否定してしまうと何かが起こっては嫌だという理由で「幽霊はいる」と言いますが、心の底から信用はしていないので、どこか否定して欲しくて縋ったのです。 しかし、母と話をしても不可解なことが増えるばかりでした。 先述した通り、両親は夜型人間なのでその日も午前4時頃まで起きていたそうです。 その間、母はおもちゃの笑い声も私たち姉妹の足音も聞いていませんでしたが、2時頃に私の声を聞いたと言います。 しかも、私が吹き抜けから顔を覗かせて一階に向けて話をしていたらしいのです。 「こっちはおもちゃがいっぱいあるから楽しいよ」と。 私は生まれも育ちも大阪なので、身内相手に標準語で話すことはまずありません。 そんな私の口調に違和感を感じた母が「何言うてんの?」と聞き返すと、「ハハハ」と笑って部屋に戻っていったそうです。 2時と言えば、私があの笑い袋と対峙していた時刻。 母は 「笑い袋は先週ゴミに出したから鳴るはずない、それは夢」 と鼻で笑いましたが、それでは朝方に箱の周りに散乱したおもちゃを片したのは何だったというのでしょうか。 その後、妹に聞いても昨夜は一度も起きてないと言いますし、あれだけ叩かれていた足にはアザの一つもありません。 私の足には、あの時の妹の手形がはっきり残っているのに。 この日を境に不思議な出来事に遭遇する機会が増えました。 (私一人しかいない深夜の学校で黒電話の音が鳴り響いたり、夢を操れる期間が訪れたり、様々なことを経験しましたがそれは後々) 妹の一件は毎年夏の寝苦しい時にだけ思い出すのですが、つい先週、クソ寒い時節に思い出したのです。 大学院に通う私は修論に追われていたため、終電で帰ることが出来れば御の字でした。 私自身目が大変悪いのもありますが、山奥にある田舎の学校ですから大学内を歩くときでも懐中電灯などの灯りは必須です。 22時頃に正門へ続く広い道路を歩いている時のことでした。 スマホのライトを出力最大で照らしながら歩いていると、十字路に差し掛かった時に左側面から自転車がぶつかってきたのです。 派手に転倒した私に「大丈夫ですか!」と自転車の主が声をかけ、隣で何度も謝っていました。 立ち上がった感触から「これはダメな捻り方したな」とも思いましたが、相手のとても申し訳なさそうな態度とどうしても終電で帰りたい気持ちが勝ってしまい、私は警察を呼びませんでした。 ただ、大学規模ともなれば顔も見たことない学生がほとんどなのですが、この時ばかりは初対面のコイツに言い表しようのない違和感を抱いたのです。 そして「もういいから」とヨロヨロ立ち上がり、頭を下げたそいつが再び自転車に跨ってペダルを漕ぎ始めた時、確かに聞こえました。 「次は右足〜」と。 先ほど謝罪を繰り返していた声とは全く異なる、大学院には似合わない子どもの声で。 あの違和感は、正体の掴めなさにあったんだと気が付きました。 見た目からも声からも性別の区別がつかない、直前まで自転車の音すら無い、しかもさっき見たはずのその顔をもう思い出せなかったのです。 呼び止めるほどの勇気もなく、帰宅困難なレベルに痛い足を引き摺りながら結局その夜は学校に泊まりました。 翌朝に何とか歩きながら帰宅しましたが、修論発表が近いこともあって病院に行きませんでした。 負傷から1週間以上経って病院へ行ったのですが、結果は「異常なし」。 明らかに腫れているのですが、骨はもちろん筋肉も正常なものと何ら変わりないというのです。 赤くなっているのはテーピングで被れたのだろうとか、庇って歩くから痛いのだろうとか、そんなありきたりな返事と湿布をもらって診察は終わってしまいました。 でも、私は目を逸らしたかったのです。 この腫れが日ごとに大きくなっていること、ちょうど指のような隙間ができていることに。 この春から就職で地元を離れます。 それを知ったことで今になって現れたのでしょうか。 私は8年前のあの日から逃れられないのでしょうか。 今から一人暮らしの生活が怖くて仕方ありません。

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