
中編
バス停に居る
紅仁彦 2日前
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夏も終わりに近づいてきた、ある夜の出来事でした。
三人で暮らしている私達は、まだ昼間出歩くには暑くて、夜9時過ぎに散歩をする習慣が着いていました。
その日も宛もなくフラフラと散歩に出ました。
住んでいるところの近くに、有名な神社があります。
近くと言っても、歩いて30分位でした。
10時近くとはいえ、車も人も公共交通機関もフル活動しているので、明るく賑やかな場所です。
神社に立ち寄り、そろそろ帰るかと帰路に着いた時でした。
バス停の横を通り過ぎようとした時、とあるお婆さんが目に入りました。
口元にはスカーフを巻き、手には小銭を握りしめている。引いているカート?にはガムテープがぐるぐる巻きにされて、少し俯いて蹲っていました。
最初は「気分でも悪いのかな?大丈夫かな?」とも思いましたが、何故かあまり関わらない方が良いと思ってしまい、その場を通り過ぎました。
周りにはバスを待っている人もおり、何も変では無いはずなのですが、何故か並ばずに少し逸れた位置にいたのは気になりました。
まぁ、そういう人も居るだろうしと、普通に三人で話しながら歩いていました。
途中で横の道路を急行のバスが通り過ぎていきました。
バス停ひとつ分歩いていった時、そこで私達はとても驚き、同時に恐怖を感じました。
そのバス停には、先程の1つ前のバス停にいたお婆さんが、全く同じ格好をして蹲っていました。
口元にはスカーフを巻き、手には小銭を握りしめている。引いているカート?にはガムテープがぐるぐる巻きにされており、細かな部分まで全く同じだったのです。
驚きで横を通り過ぎる時凝視してしまい、目が合いそうになりましたが、咄嗟に逸らしました。
そして一緒に歩いていた二人の方を見ると、同じ様に驚いた表情。
これで確信してしまいました。私のただの勘違いではなく、本当に同じ人を別の場所で、ありえない場所で見かけたのだと。
歩いている1人の方が「喋るな喋るな」と言うので、なるべく離れた場所で話し始めました。
「1つ前のバス停にもいた」
「見間違えじゃない。三人全員が見たから」
「バスも急行だから止まるはずがない」
「そもそも一つ分のバス停で乗り降りするか?」
疑問と混乱で、三人で話しました。
また見かけてはいけないと思い、反対側の歩道に渡りました。
どんな場合を考えても、おかしな状況でした。
言い知れぬ恐怖を感じ、バス停の前を通らないよ
後日談:
- 同じ人がいるはずのない場所に居る。 まるでお婆さんが一瞬でワープしたかのような。 先回りされたかのような。 もし似たような体験をした人が居たら、コメント等をお願いします。
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