
長編
頭のない男
匿名 3日前
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ぎてるからなのかなと思ってたけど
後ろの窓から見えないのはありえない。
そしてバックミラーは黒塗りしたんじゃないかと思うぐらい真っ黒。何も見えない。
怖くなってスピードをあげた。70キロ。80キロ。それでもピタリとついてくる。
次の信号が黄色に変わり赤になろうとした時のギリギリのところで交差点に突っ込んだ。
それでも後ろにピタリと付いてくる。
怖い。ただただ怖い。
次に見える信号も赤だ。
今日はやけに引っかかる。
次で最後の信号。
遠くに見えるけどやっぱり赤。
サイドミラーの右側にだけ映る車がピタリとくっつき離れない。
そして怖くて怖くてヤケになった私は叫んだ。
「お前と私は関係ないから!!!」
その瞬間何かが私の車を飲み込み通り抜けた気がした。
金縛りにあった時はお前と私は関係無いと念じれば解けるってどこかで聞いたことがあり、実際に金縛りにあった時に解けたので言ってみました。
気づいたらサイドミラーにもバックミラーにも後ろの窓にも車が映ってなかった。
この道に曲がり角は無い。
ああ。消えたんだと思った。
そして解放されたんだと少し安心した。
でもこれでは終わらなかった。
最初の頃にに紹介した通り
私の家は大通りから一本中に入った町。
細い道へ曲がりまっすぐ進んだ所にある。
街灯が離れた所にぽつりとあるだけで
ほぼ真っ暗な状態。
深夜なんて誰も歩いたりしないし
車が通ってたら珍しいなと思うほど。
まっすぐの道の途中には小さな神社があったり家族全員で自殺した家もある。
この道は小、中、高と何年も通った道だけど、夜は未だに怖い。
そしてその先の踏み切りを渡らないと家にたどり着けない。
家に近づくにつれてさっきの事で
だんだんと恐怖心が強まっていった。
もう少しで踏み切り。
踏み切りについた。
車を一旦停止する。
心臓がうるさい。
右を確認した。
……そして左。
そこにその人はいた。
一瞬で目の前の情報が頭に飛び込む。
『半袖半ズボン、薄手で青のストライプのパジャマを着た中年で小太り。身長は167㎝。裸足でこっちを見てる。』
でも何かおかしい。
……ああ。分かった。
首から上が。頭が無いんだ。
『今回もまた頭が無いんだね。』
でも……待って…今、外の気温は氷点下1℃だよね…?
その格好で外に立っているのはありえない。
ふと、我にかえる。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(3件)
- 分かります。一瞬でその霊の生前の情報が意識に入りこんでくる。私も一緒です。リアル
- 聞くだけで恐ろしいです。体験した方、貴重な話ありがとうございます。ぼんばー50
- 丁寧でわかりやすい文章。ドキドキしました!匿名